【100億円マニュアル11】お客様の記憶に残る聴覚メッセージング法 表現コンセプトの作り方【完了】

表現コンセプトを作る目的

100億ロケット・マーケティングの3つぐらいの新カテゴリー商品を作り、ダイレクトマーケティングモデルで積極的に広告に投資して、売上100億円を目指します。

このとき商品がお客様の強いニーズに答えた画期的な商品であっても、その魅力がお客様に伝わらなければ、発売しても売れません。最悪は、投資を回収できない状況になります。世の中にはそういう残念な商品が溢れています。

100億ロケット・マーケティングでは、梅澤式の表現コンセプト作りを実践していただき、みなさんが作った商品の魅力をしっかりお客様に伝えていただきます。

当然、表現コンセプトの完成度が高いと、広告の質が高まり、最小の広告投資で最大の売上を上げることができます。そうなれば、商品はヒットし、商品に関わった人たちの努力は大いに報われることでしょう。

そもそも私が表現コンセプトの重要性を強く感じたのは、皮膚用虫除け剤スキンガードの市場調査の時です。

1974年に発売したスキンガードは発売前に20代から50代の主婦対象に電話調査を行いましたが、調査員がが電話して、まず商品名を伝えると約60%の人が避妊具と間違えたのです。

スキンガードは大ヒットしたため、イアでこそ名前が知られていますが、調査した時点では、どんな商品化が分からず、多くの人が、スキンガードという商品名から避妊具を想像してしまったのです。

そのときから私は、新カテゴリーの商品には、この商品はなんであるかを表す新カテゴリー名をパッケージや広告につけるようにしました。

ちなみにスキンガードの新カテゴリー名は、皮膚用虫除け剤です。調査のときに、この商品は皮膚用虫除け剤ですといえば、避妊具と間違える人は一人もいないでしょう。

さらに新カテゴリー名を伝えると同時に、消費者に商品コンセプトをしっかり伝えると、蚊やブヨにくわれたくないと期待する人は喜んで買ってくれることがわかりました。

それ以来、商品コンセプトをどのように伝えれば、お客様が欲しいと思ってくださるか、新カテゴリー商品ならではの伝え方を蚊発するに至ったのです。商品のつk耐え方の良し悪しつまり表現コンセプトの良し悪しで、商品の売れ行きが全く違ってきます。こんな大事な仕事を外部のクリエイターに丸投げするわけには行きません。

梅沢式表現コンセプトづくりを実践して、そのノウハウを社内で蓄積していきましょう。

 

表現コンセプトの全体像を理解しよう

では具体的な表現コンセプトの説明に入ります。まず次ページの図38をご覧ください。

この図は、梅沢式の表現コンセプトが4つの階層でできていることを示しています。1番下の階層にある新カテゴリー名は、商品が何であるかを表す、表現コンセプトの土台となる重要な要素です。

先のスキンガードの例で、商品名を伝えても、商品が何であるかがわからなかったように、新カテゴリーの商品は、新カテゴリー名を伝えることが重要です。

その上に商品がどう良いかを表すユニークで売り込みのきく主張があります。

ユニークで売り込みのきく主張は、マーケティング用語でUSPといいます。

USPはユニークセリングプロポジションの略で、アメリカの広告業界で活躍したロッサー・リーブスしによって提唱されたものですが、本書では私が日本語に訳したユニークで売り込みのく主張という名前で説明します。

注意して欲しいのは、ここでいうユニークとはちょっと変わった、珍しいという意味ではなく、今までにない独自のという意味で使っているということです。

そして100億ロケット・マーケティングでは、ユニークで売り込みのきく主張をさらに魅力的なキャッチコピーに置き換えていただきます。そのやり方はこのあと詳しく説明します。

次に表現コンセプトの3番目の階層が、商品名となります。商品名の条件と役割についてはあとでお話します。そして最後、1番上の階層は

意識喚起メッセージとなります。意識喚起メッセージは顧客の真理を刺激して、潜在しているニーズを気づかせたり、今行っている方法の問題を気づかせるメッセージです。これについてものちほど詳しく説明します。

以上が、梅沢式表現コンセプトを構成する4つの階層となります。100億ロケット・マーケティングでは、この4つの階層に基づいて、商品の魅力を表現していただきます。表現するにあたっては、パッケージや広告に使うので、数秒という非常に短い時間で顧客に伝えるものでなければなりません。いかに短い言葉で、思わず買いたくなるような表現で訴求できるか、それによって広告の質が大きく違ってきます。

例えば、私がコンサルタントになって初めて手掛けた商品、禁煙パイポは、広告予算が乏しい中で発売しました。

当時のアルマンは脱サラしたM氏が創業したばかりの社員三人の小かな会社でした。M社長は、すべて梅澤理論通りに作って、広告費をかけるマーケティングをやりたいとおっしゃって、表現コンセプトも知恵を絞って作り上げました。

そして80万円で有名なテレビ広告をつくり、まず静岡限定でCMを流すために、学生アルバイトが静岡のタバコ販売店を1店舗1点歩まわって、禁煙パイポをおいてもらいました。

CMが流れると、あっという間に話題になり、商品が売れ出しました。M社長は全国でCMを流すために銀行に交渉し、CMの全国放送が実現すると、さらに認知度が上がり、生産が追いつかない状況となりました。そして発売8ヶ月後には売上19億円となりました。じつは私が売上予測計算式で、テレビCMをやった場合のしら荒れる率のシミュレーションで、初年度に得られる売上は19億円と予測していたので、それを8ヶ月で達成したことになります

このように、広告の効果は、広告の質×広告の量で決まり、広告の質を最大限にあげれば、少ない量でも効果が上がり、広告投資以上の成果が得られるのです。

 

ところで表現コンセプトは、商品の完成の目処がたった段階から考え始めるのではありません。実際には、商品企画の段階から発売直前まで開発メンバーはずっと、何か良い表現はないか、もっとインパクトを強くできないかと模索し続けて、表現を研ぎ澄ませていくのです。表現コンセプトづくりは、商品コンセプトのテストが終わった段階からスタートさせてください。

では次から表現コンセプトの4つの階層ごとに具体的な作り方を説明しましょう。

 

表現コンセプト①新カテゴリー名

100億ロケット・マーケティングは、革新型、市場代替型、棲み分け型のいずれかの新カテゴリーの商品を2つぐらい準備していただくことが前提です。新カテゴリーの商品は類似商品がないので、お客様にこれは今までになかった新しい商品だ!これこそ前から欲しかったもの!と瞬時にわかってもらうためには、パッケージや広告に新カテゴリー名をつけて、商品が何であるかを伝える必要があります。

ですから単に覚えやすいとか、語感や響きがいいというだけでは不十分です。そこで新カテゴリー名を考える際は、次のような問答を繰り返してください。

この商品は何ですか?と聞かれたら、ひとことで何といいいますか?

この商品は●●●です。

この●●●に当たる部分が、新カテゴリー名となります。そして新カテゴリー名の条件としては、

①その商品が何であるか、何の目的で使うかがよくわかること

②今までにない商品のイメージを明らかに与えること

③1と2を満たした最短の名詞であること

の3つです。

新カテゴリーの商品は商品名より、新カテゴリー名のほうが重要です。いかに魅力的な新カテゴリー名をつけるかが知恵の絞りどころとなります。

私のこれまでの経験では、塗るつけまつげや食べるマスクのように塗るとか、食べるというような行動を示す用語を新カテゴリー名に使うと、先にあげた3つの 条件を満たすことが多く、しかもヒットする確率が高くなることがわかっています。

そして新カテゴリー名は、パッケージや広告に図39のように商品名よりも大きく表示してください。

なぜそのような表示をするかと言えば、お客様は商品名よりも自分のニーズに答えてくれる新しいカテゴリーの方に関心があるからです。

例えばカビキラーは発売当時、スプレーするだけで簡単にカビが取れる、世界初のカビ取り剤に感激した人が買ってくれました。決してその人たちは、カビキラーがほしかったわけではありません。自分の強いニーズに答えてくれるカビ取り剤という新カテゴリーに期待して買ってくれたのです。

結果として、カビキラーは大ヒットし、次第に商品名をいうだけで、消費者はカビ取り剤を思い浮かべて買ってくれるようになりました。このようにお客様が商品名から、その商品が何であるかを認識できるようになるまでの間、新カテゴリー名を強く訴求するのです。

 

表現コンセプト②ユニークで売り込みのきく主張

梅沢式のユニークで売り込みのきく主張USPはよく、キャッチコピーと同じですか?というご質問をいただきます。一見すると、同じように見えますが、本質的にはキャッチコピーとは違う物です。ではユニークで売り込みのきく主張とはどのようなものか、まずは具体礼を5つ見ていただきましょう。

洗うだけで頭も気分も爽快になる

擦らずにカビを根こそぎできる

吸いながらタバコをやめることができる

ブラシで擦らずに釜にたまった湯ドロは必ず取り去ります

めんどうな手間をかけずに良心的にテンぷら油を処理できます

ご覧のとおり、どれもこの商品を買えば、〜できるという、他社にない独自の提案となっています。たんに顧客の関心を引きつけるだけの謳い文句ではありません。この点が、単なるキャッチコピーと本質的に違うところです。

ここで図40をご覧ください。図40は商品コンセプトと表現コンセプトの関係を表しています。この図では商品コンセプトの商品アイデアが新カテゴリー名となり、商品コンセプトの顧客に与える効用・便益がユニークで売り込みのきく主張になるという関係を表しています。

つまり顧客に与える効用・便益の〜できるという内容をより魅力的な短い言葉に置き換えたものがユニークで売り込みのきく主張となるのです。

この関係性を頭に入れて、魅力的なユニークで売り込みのきく主張を考えてください。その際、ユニークで売り込みのきく主張は、商品が何であるかがわからなくても問題ありません。

商品が何であるかは、新カテゴリー名で表し、ユニークで売り込みのきく主張だけを表示することはないからです。ところで3章でアンケート調査のやり方を説明しました。アンケート調査をする際、商品コンセプトの中に顧客に与える効用・便益を提示したことを覚えているでしょうか。そしてアンケートの結果の意向理由の分析から、顧客に与える効用・便益の内容を変えるべきかを検討しました。

ですから、ユニークで売り込みのきく主張を作るときは、アンケートの調査の結果によって、改良した、あるいは、改良の必要がないとわかった、顧客に与える効用・便益をもとに魅力的なコンパクトでインパクトの強い言葉に置き換えて作ってください。

注意しなければならないのは、薬事法などの法律に触れないこと、とウソになるような誇大表現は避けることです。誇大表現とは、商品の長所を過度に表現して、実際よりよく思わせる大袈裟な表現のことです。誇大表現となっていれば、1回は買っていただけたとしても使用後はお客様の期待を裏切ることになるので、再購入はありません。

一方、誇張表現は事実に基づくオーバーな表現です。こちらは事実に基づいていることなので、嘘はついておらず顧客を裏切ってはいません。このように、誇張表現の範囲であればOKです。

 

表現コンセプト③商品名

次に商品名を考えます。

商品名を考えるときのポイントは、顧客ターゲットを強く意識しながら、次の5つのことを考慮して決めてください。

①カテゴリーを連想できる

②商標権が取れる

③心に残りやすい

④ブランドを拡張できる

⑤多言語に適用しやすい

この5つの中でもとりわけ重要なのが、1のカテゴリーを連想できるという条件です。

なぜとりわけ重要かは、カビキラーの例でお話しましょう。カビキラーは1982年に発売し、現在もカビ取り剤でシェアナンバーワンを維持しています。

ですから、お風呂の掃除をする人が、カビ取り剤が欲しいと思った時に真っ先に思い浮かべる商品名がカビキラーです。

つまりカビキラーはカビ取り剤というカテゴリーの代名詞となっているのです。一般に商品がヒットすると、後発品が参入してきて、様々なブランドが乱立するようになります。しかし後発品で入り乱れる状況となる前に、そのカテゴリーの代名詞となっていれば、その商品はシェアナンバーワンの座を奪われることなく、ロングセラーとなることが経験上わかっています。

そのため、いちはやくカテゴリーの代名詞となるように、商品名はできるだけカテゴリーを連想しやすいものにすることが秘訣なのです。

先に述べたように、商品がカテゴリーの代名詞となるまでは、パッケージや広告に新カテゴリー名を大きく記載し、商品名は小さくデザインするようにします。

このことは商品名がカテゴリーの代名詞となるまでは、商品名には価値がないことを意味しています。商品名が価値を持つのは、カテゴリーの代名詞になる過程に置いてです。ちなみにトレイその後にや塗るまつげ、明治おいしい牛乳などは商品名が新カテゴリー名をかねています。

なぜ兼用が可能かといえば、新カテゴリー名としての3つの条件を揃えている上に、商品名に必須のカテゴリーを連想できるものという条件を兼ね備えているからです。

次に商品のキャッチコピーを作ります。梅沢式キャッチコピーは表現コンセプト②で説明したユニークで売り込みのきく主張を下にして作ります。作りにあたっては、梅沢式聴覚メッセージング法を使っていただきます。聴覚メッセージング方は、俳句を作る要領とほぼ同じです。ご承知のとおり、俳句は5・7・5おの17音で作る最も短い詩です。なぜキャッチコピーをつくるときに俳句を使うかと言えば、キャッチコピーを視覚情報にも残るようにするためです。その理由を詳しくお話しましょう。

日本には、古来から5音と7音でつくる詩の文化があって、日本人にとって、5音と7音の音韻リズムが最も心地よく記憶に止まります。それは次ページ図41を見れば、理屈抜きで納得していただけると思います。

図41は、標語や企業のキャッチフレーズを列記したものです。古いものでは60年以上前のものもあります。ご覧になって、いくつ記憶に残っているでしょうか。50歳以上の方であれば、ほとんどすべて、出だしのフレーズを見ただけで、うしろに続くフレーズが頭の中に浮かんできたのではないでしょうか。

実は記憶に長く残るキャッチフレーズや標語は、5音と7音で作れらたものがとても多いのです。

なぜ5音と7音のリズムが日本人に心地よく記憶に止まるかについては諸説ありますが、科学的にわかっていることは、視覚から得た情報と聴覚から得た情報では、脳の中での記憶方式が違っていて、音で聞いて記憶したほうが、視覚空よりも長く記憶に止まるということです。

ですからキャッチコピーでもできるだけ5音と7音でつくり、聴覚情報として長く記憶に残るようにするためにいったん俳句の形にする、というのが梅沢式聴覚メッセージング法です。

私自身もキャッチコピーの良し悪しを判断するときには、必ず目を閉じ耳だけで聞いてみて、必要なことが伝わるか、記憶に残るかをチェックするようにしています。

図42は私が作った梅沢式キャッチコピーです。

ご覧の通り、多くが5音と7音でできています。禁煙パイポやカビキラーは、商品名も5音と7音になっています。梅沢式聴覚メッセージング法では、ユニークで売り込みのきく主張をまず5・7・5の俳句の形にしてみます。俳句を作るには、17音という短い言葉の中にいかに商品の良さを表し、そこに顧客に訴求する感情をいかに盛り込むかという、ギリギリの表現が求められます。

そしてその俳句の形したものを、さらに思い切りよく短い鋭こい言葉にして、梅沢式キャッチコピーを作ります。これが梅沢式聴覚メッセージング法です。ちまみに俳句には、例えばトニックシャンプーの中に小さなツやーはそれだけで1音として数えるとか、小さなヤユヨ、アイウエオは前の字と合わせて1音と数えるなど、細かいルールがありますが、細かいルールに神経を使いすぎる必要はありません。では、梅沢式キャッチコピーを作るための聴覚メッセージング法の手順を解説しましょう。

 

梅澤式聴覚メッセージング法手順1

車内メンバーでユニークで売り込みのきく主張を頭に入れて、俳句を一人4から5個作って、ポストイットに記入します。例えば、アビキラーのユニークで売り込みのきく主張はこすらずにカビをねこそぎできるです。これを俳句の形にしたものが、こすらずにカビを根こそぎカビキラーです。このように俳句の中に商品名を入れてもいいですし、入れなくてもいいです。

 

梅澤式聴覚メッセージング法手順2

全員のポストイットを壁に貼り、メンバーで俳句を味わいます。味わう時に、資格だけでなく、声を出して音のリズムを味わってみます。その上で、我々が打った痛いポイントは何だろう、ターゲットに響く言葉は何だろうという2点について話し合い、良い言葉に印を付けながら、候補を絞っていきます。

 

梅澤式聴覚メッセージング法手順3

絞った候補の俳句のニュアンスを思い切りよく短く鋭い言葉にしてキャッチコピーを作り、10個以内に候補(なるべく種類のことなるもの)を絞ります。このとき慎吾を発明できれば、より魅力的なキャッチコピーができます。例えば空腹感解消ビスケットのぐーぴたっはぐーっとなる 私のお腹 ぴたっとね という俳句から、お腹のぐーをぴたっというユニークなキャッチコピーができました。

 

梅澤式聴覚メッセージング法手順4

全メンバーで絞られた候補を評価チェックリストを使って評価し、候補が絞られた段階で、なぜ我々が、この候補に◎をつけたのかを議論して、最終候補を絞ります。

ではこれらの手順を漫画でみていただきましょう。

以上、漫画で梅沢式聴覚メッセージング法の手順をお伝えしました。

ところで、漫画の中にも出てきた梅澤式キャッチコピーを評価するチェックリストが図43です。

ご覧の通りチェックリストは全部で質問が9個あります。

①から⑧までの質問には、◎、?、×のどれかで評価します。最後の⑨の質問に対しては、自由に意見を書いてもらいます。

メンバー全員のチェックが終わりましたら、それらを集めて集計します。基本的に◎が多いものを選び、ますが、質問の②と④の評価が良いことが条件となります。⑨のオープンアンサーの答えは、候補をさらに絞り込むときの参考にします。

ところで、なぜ質問の②と④の表亜kが良いことが条件となるかについては、図44で示す通り、梅沢式キャッチコピーは、商品がどう良いかを示す、ユニークで売り込みのきく主張をキャッチコピー化したものであり、さらにそのユニークで売り込みのきく主張は、商品コンセプトの顧客に与える効用・便益を下に作っているからです。

商品コンセプトとの一貫性が重要なので、質問の②と④の評価が良いことが条件なのです。一般に広告代理店に依頼して商品のキャッチコピーを作ってもらうと、図43のチェックリストの③、⑦、⑧の評価が高くなり、②と④の評価が低くなるケースが多いです。広告代理店は、顧客の興味を引くだけのキャッチコピーを作る場合が多いので注意が必要です。

また梅沢式キャッチコピーのフレーズが長い場合は、1行でパッケージや広告誌面にデザインできないこともあります。その際は、最終的に絞った1つの梅澤式キャッチコピーのフレーズの中で、どの言葉を優先させるかを考えてください。

実際にはこれらのプロセスをへて、最終の梅澤式キャッチコピーが決まる場合もあれば決まらない場合もあります。メンバー全員で、これしかない!と確信できればいいのですが、意見がわかれば場合は、さらに発売ギリギリまで詰めることになります。この粘りが大切です。

 

 

表現コンセプト④意識喚起メッセージ

新カテゴリーの商品は、顧客の潜在的なニーズに応える商品が多いので、そのニーズを顕在化させる必要があります。意識喚起メッセージは、顧客に潜在しているニーズを気づかせたり、今行っている方法の問題点を指摘して、顧客が解決したい!この商品が解決してくれるかも!と期待させる働きをします。

例をあげましょう。すでに3章アンケートの分析手順のところで、風呂釜洗浄剤ジャバを例にあげて、意識喚起メッセージについて少し触れました。奥さん、まだホース洗いやってんの?お釜の中は湯ドロの巣です。という意識喚起メッセージによって、ぜひ買いたい率が0.4%から38%へ急伸したことをお話しました。当時多くの主婦がホース洗いすることで風呂釜がきれいになると思い込んでいたので、ホース洗いでは、きれいにならないことを意識喚起メッセージで伝えたのです。また歯磨き粉のエチケットライオンは、自分ではきづかないお口の匂。でも相手には気づかれています。という意識喚起メッセージを送って、口臭がないかという不安感を想起させました。

同じ歯磨き粉のデンターライオンは、りんごをかじると血が出る人に!という意識喚起メッセージで、あ、これは自分用の商品だと想起させて大ヒット商品となりました。このように効果的な意識喚起メッセージを伝えることで、お客様の潜在ニーズを顕在化させるのです。

ところで、なぜ意識喚起メッセージを伝えれば、お客様は買ってくれるかというと、意識喚起メッセージがお客様のアンバランス感情を刺激するからです。

先ほどのジャバのケースでは、奥さん、またホース洗いやってんの?オカマの中は湯ドロのすです。という意識喚起メッセージによって、主婦の風呂釜に湯ドロがたまるのはいやというアンバランス感情が刺激されたのです。

一般にアンバランス感情は、解消したい不快な感情なことで、大きく分けて心理的なものと、生理的なものの2つがあります。

次ページの図45のとおり、心理的なアンバランス感情には、ストレスなど外部刺激を受けて起きる、緊張や不安などの様々な感情があります。

もう一つ生理的なアンバランス感情は生命保存本能から引き起こされる飢えや、疲れなどの様々な感情があります。

どちらにしてもアンバランス感情はとても不快なもので、意識するしないにかからわず、私たちは常にアンバランス感情を解消したいと願っています。意識喚起メッセージは、そのアンバランス感情を刺激することによって、不快なアンバランス感情を解消する商品はこれです!と意識レベルで訴求し、どんな商品何だろうと期待を与えるのです。

図45はアンバランス感情を一覧で表しています。このようなアンバランス感情が人間にはあり、自社の商品に関連しそうなアンバランス感情があれば、意識喚起目セージをつくる上でのヒントになるでしょう。また図46にある通り、意識喚起メッセージはストレス源を顧客に伝える役割になっています。

なので、意識喚起メッセージを考えるポイントは、まずアンナランス感情を引き起こすストレス源は何かを考えることです。

そのストレス源がわかれば、それを意識喚起メッセージに置き換えてください。

置き換えるときの秘訣は、顧客に気付きを与え、閉じていた心の扉を開くようなメッセージにすることです。図46の下の表は、商品ジャバ、エチケットラインオン、それぞれのストレス源とそのストレス源を顧客に伝える意識喚起メッセージそれによって顧客の心に生じたアンバランス感情と、顕在化したニーズ、そして顧客にどんな期待を与えたいかを列記したものです。

自社商品の意識喚起メッセージを考えるときは、この表にあるストレス源が発生する状況をよく観察するとヒントを得られることでしょう。以上が梅沢式表現コンセプトの階層別の作り方の説明です。

実際に作ってみると、新カテゴリー名と梅沢式キャッチコピーづくりにかなり時間がかかるかもしれません。逆にいえば、この2つが確信あるものにならない限り、広告の成功はないということです。商品が何であるかを表す新カテゴリー名と商品がどう良いかを表す梅沢式キャッチコピーの2つが一体となって、顧客の心を掴む働きをします。

次に梅沢式キャッチコピーを補強する役割にになうサポート情報とトーン&マナーについて説明します。

 

サポート情報

サポート情報とは、梅沢式キャッチコピーを顧客に確信してもらうための補助的な情報のことです。短い言葉の梅沢式キャッチコピーの中では、商品がどう良いのかの根拠や理由までを示すことができないため、サポート情報が必要になります。例えば1983年に発売した固めるテンプルという天ぷら油処理剤は今でこそ、広く知られていますが、発売当初はどういう商品なのかを知る人が少なく、油を固めて捨てられると言ってもお客様はそれって本当なの?とすぐには信じられません。

そのようなお客様の不振や疑問を払拭する情報として、植物成分だけを原料としているので、安心して使えます、油が覚めたあとはするっと鍋から剥がれます、一袋で600グラムの油を固めて、手やキッチンを汚さずに、燃えるゴミで簡単に油を捨てられますというような補助的な情報を明示するのです。文字数が多く、パッケージなどの紙面に制約がある場合は、小さな字で明示しても構いません。

明示することで、お客様に梅澤式キャッチコピーの油を固めて捨てられるを確信してもらうことができます。サポート情報を考えるときのポイントは、まずどのような情報を与えると、梅澤式キャッチコピーを確信してもらえるかを考えてください。

実際は、商品コンセプトの商品アイデアの中の主なものをレッッキする場合が多いです。商品アイデアとは、お客様の満たされない強いニーズに答えて、お客様に紅葉や便益を与えることができるアイデアのことでした。サポート情報は、自社商品おの商品アイデアの内容から考えてみてください。

 

トーン&マナー

トーン&マナーとは、パッケージデザインや、ネット広告のランディングページ、あるいはテレビCMなど、表現コンセプトをビジュアルかするためのキーワードです。表現コンセプトをどのような印象、調子、雰囲気でターゲットに伝えたいかということを一言のキーワードで表します。

先のサポート情報は梅沢式キャッチコピーを確信させる情報でしたが、このトーン&マナーは梅沢式キャッチコピーをイメージ面補強するものとなります。トーン&マナーの例を商品ごとにあげます。なお①と②があるのは、①が優先度が高いことを示しています。

カビキラーのトーン&マナー→①こびりついた黒カビ②信頼感

スキンガードのトーン&マナー→①虫に刺されて赤くはれたほっぺ②信頼感

ぐーぴたっのトーン&マナー→①ぐーとぴたの文字②コミカル

テンプルのトーン&マナー→①フライパン②信頼感

禁煙パイポのトーン&マナー→①コミカル

トーン&マナーのキーワードを考えるときのポイントは、商品のターゲットにマッチする印象、調子、雰囲気とはどんなものかをイメージして、そのイメージをビジュアルが浮かぶよう、ひとことの言葉にしてください。キーワードが決まれば、それをもとにデザイナーや制作会社にビジュアル化を依頼します。

例えば、禁煙パイポのトーン&マナーのキーワードはコミカルです。コミカルとは、滑稽な様、おかしなさまという意味です。

禁煙パイポのテレビCMようの映像を作るとき、このコミカルというキーワードをクリエイターに伝えてビジュアル化をお願いしました。

もちろん商品コンセプトもクリエイターに伝えましたが、クリエイターがビジュアル化するためには、どのような調子のどんな雰囲気の映像にするかを考える必要があり、ビジュアルかの調子や雰囲気をコミカルというキーワードで考えてもらったのです。

禁煙パイポの場合、クリエイターはコミカルというキーワードを下に小指を立てた、私はこれで会社をやめましたという映像を作ってくれました。

企業側がトーン&マナーを作らずにクリエイターに丸投げすれば、企業の狙いとかけ離れたものが出来上がってくる確率が高くなります。そうならないために、予め。トーン&マナーのキーワードを決めて、クリエイターにお願いする必要があるのです。

最後に、巻末折込の図47をご覧ください。図47は私が自ら開発した商品あるいは、コンサルタントとしてアドバイスした商品の表現コンセプトを一覧にした表です。

商品名ごとに新カテゴリー名、梅沢式キャッチコピー、意識喚起メッセージを明記しています。どれも発売にあたって、実際にパッケージや広告に使われたものばかりです。みなさんが作った新カテゴリーの商品も先に説明した要領で、新カテゴリー名、ユニークで売り込みのきく主張、商品名、梅沢式キャッチコピー、意識喚起メッセージをそれぞれ作ってください。

 

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