100億ロケット発射!
100億ロケット・マーケティングでは、新カテゴリーの商品で、商品コンセプトと商品パフォーマンスの力が強い売り物が準備できましたら、その商品をロケットに搭載し、強力な広告エンジンで空高く打ち上げます。
ロケットは大気圏を脱して宇宙空間に達すると、ロケット本体から衛星を切り離します。切り離された衛星は軌道に乗って地上に落ちることなく、地球や惑星の周りを回り続けて任務を果たしますが、そのような衛星と同じく、軌道に投入された商品はロングセラーとなって売れ続け、売上を積み上げていきます。
私がこれからお伝えすることは、広告投資によって商品を軌道にのせ、ダイレクトマーケティングモデルで売上を短期間に伸ばしていく手法です。
そのために採算をとりながら広告投資を積極的に行いますが、それらは
全て計算ずくで行います。
回収できない投資はしない、無借金でやること、が鉄則で、私がお伝えすることを社内でしっかりPDCAを回していただければ、必ず目標に達することができます。
ところで私が5年で売上100億円を超える手法をお伝えできるのは、健康食品メーカーのやずやとゼロから立ち上げた九州自然館で、この手法を使って無借金で売上を急伸させた経験があるからです。
ダイレクトマーケティングモデルの事業は、お客様の数が増えて、安定的にリピートしてくれる優良顧客の層が大きくなってくると、売上は3年先まで読めて、しかも簡単には売上が落ちない盤石な体制となります。私の経験では、その盤石な体制が売上でいうと、100億円です。
もともと私はシステム会社の社長をやっていましたが、偶然、やずやの創業者と出会い、やずやのコンピュータシステムを依頼されて頻繁に接するようになって、次第に社長の人としての器の大きさに惚れこんでしまい、結果的にやず社長のもとで、やずやのマーケティングと広告を担当するようになりました。
私が入った当時のやずやの売上は5億円、毎年売上を伸ばしていましたが、1997年には売上30億円を目の前にして、売上が20億円へと急降下したことがありました。その理由はお客様の減少ですが、それまで既存のお客様に対して何もフォローしていなかったことが原因でした。
その段階でお客様との関係を築く顧客フォローの仕組みを作り、同時に計算ずくで広告投資を積極的におこなって新規のお客様を継続的に増やしていきました。
その結果、3年後には売上100億円を突破し、5年後に150億円、10年後には470億円へと売上が急伸しました。売上470億円の当時の社員数は97人で、社員1人あたりの売上が約5億円、しかも無借金という高収益会社に成長することができました。
残念なことに、尊敬するヤズ社長は売上30億円を超えた頃、突然病に倒れて他界されたので、その後の成長をご覧になっていないのですが、やず社長はなくなる2年前、やずやは売上30億円になるまでに13年もかかってしまった。でも西野くんが作った仕組みがあれば3年ぐらいで30億円の会社が作れるのではないか。やずやから1000万円資金を出すから、子会社を作って挑戦してみたいかとおっしゃって、私は九州自然館という会社を立ち上げました。
しかし会社をつくったものの、売る商品もない、社員も1人だけという状態からのスタートでしたので、最初は他社の商品を販売して苦戦しましたが、その後、自社商品をつくり、やずやでおこなった同じ手法を使って、4年で売上23億円の会社にしました。広告は1番多い月で、前月の売上の8割を翌月の広告に投資したこともありました。この経験が私にとって大きな自信となっています。
このあと5年で売上100億円を超える広告投資シミュレーション表をご覧いだきますが、5年で売上100億円はじゅうぶん実現可能な目標です。現在、売上が20億ある会社は3年で売上100億円も夢ではありません。
読者のみなさんには次章で自社の5年の広告投資シミュレーション表を作っていただきますが、広告に大金を投資しますので、広告投資シミュレーション表は経営者または販売責任者がつくるようにしてください。
シミュレーションに使っていただくエクセルデータは巻末に記載したURLからダウンロードしてください。
そして8章と9章では、実際の広告のやり方を説明します。広告の採算をとりながら、社内でしっかりPDCAを回すためのツール「広告投資検討表」と「広告表現検討表」を初公開します。
さらに10章では、西野式の顧客離脱防止法を解説します。
5年の広告投資シミュレーション表
では本題に入りましょう。
なにはともあれ、巻頭折込の図51を広げてみてください。図51は5年で売上100億円を超える広告投資シミュレーション表です。この章では、この図51を例にして、ダイレクトマーケティングモデルで販売するときの重要なポイントをお話します。
この章で何回か、この折込の表をみていただきますので、本書の巻頭から切り離して手元に置きながら本性をお読みいただくことをおすすめします。
まずはじめになぜこのような広告投資シミュレーション表が必要かといえば、経営者が自分でいろいろと数字を入れてシミュレーションすることで、広告投資への決意を固めるためです。広告投資は常に不安との闘いです。大きな投資金額になればなるほど、途中で不安になり、もうこの辺で止めてしまうかと躊躇してしまうものです。この広告投資へお決意を固める作業が、広告投資シミュレーションです。
例えば、5年後に売上を30億にしたい、50億にしたい、100億にしたいと思って計画を立てるときに、目標を達成するには、1年目、2年目、3年目、4年目、5年目にどれくらいの数のお客様を集客する必要があるのか、お客様が買ってくれる商品の回転数が何回転ならば、年間LTV(1人の顧客の1年間の購入金額)はいくら、集客に必要な広告費はいくらなど、実際に数字をシミュレーションしてみないかぎり、決意を固めることはできません。シミュレーションして具体的な数字をつかむことで、大きな投資への決意を固めるのです。
実際に広告をやりだすとわかりますが、なかなか計画どおりにいきません。現実には計画の数字とズレがでます。
大事なことは、計画した「顧客残存率」「購買単価」「顧客回転数」「年間LTV」「稼働顧客数」「新規顧客数」「CPO」などの物差し(基準値)がどれくらい計画からズレたのか、ズレを数字で掴んで、ズレた原因を考え、基準値に近づける施策を考えて、また広告をうつ、という広告投資のPDCAを回していくことです。これをやらない限り目標を達成することはできません。
船が航海するときに海図とコンパスを用いるように、広告投資は広告投資シミュレーション表を用いて目標の到達地点を目指すのです。
経営者が必ずチェックしなければならない大事な項目
次に経営者や販売責任者が特に注意してみて欲しい広告投資シミュレーション表の中の項目についてお話します。
ここでは図51の表の中のピンク色の部分に注目してください。
ピンク色になっている項目のうち、ここでみていただきたいのは、次の2つです。
①年間LTV
②年間稼働顧客数
この2つの項目が広告投資シミュレーション表の中で、経営者または販売責任者にとくに注意して欲しい大事な項目です。
この2つをみて、記憶力のいい方は、1章で説明があったことに気づかれるでしょう。
年間LTVは1年のあいだに1人のお客様が買ってくれた平均金額
年間稼働顧客数は、1年のあいだに商品を1回以上買ってくれたお客様の数
のことでした。
そして図52のとおり、年間LTVと年間稼働顧客数を掛け合わせると燃焼になり、ました。
つまり、年間LTVと年間稼働顧客数の2つが重要なのは、ダイレクトマーケティングモデルで年商を決める要因であり、年間LTVと年間稼働顧客数を増やして行けば燃焼が増えていくのです。
ですから経営者や販売責任者は、
年商=年間LTV×年間稼働顧客数
の計算式をしっかり頭に入れましょう。そして実際に広告投資をスタートさせたら、この2つの数字が増加傾向にあるのか、減少傾向にあるのかを自社で立てた5年間の広告投資シミュレーション表の数字と照らし合わせて必ずチェックするようにしましょう。
ここで巻頭折込の図51の5年で売上100億円を超える広告投資シミュレーション表で、5年目の年商を確認してみましょう。
どこの数字を見ればいいかは、シミュレーション表の1番上の項目の経過月数60のところの年間稼働顧客数と売上高の数字です。
次のページ図53が巻頭折込のシミュレーション表上で数字を探すときの見方です。ご覧の通り見つけてほしい数字のところには、わかりやすいようにピンク色の四角で囲んでいます。
経過月数60の年間稼働顧客数の数字は、図53にあるとおり、1のところにありますので、巻頭折込の図51でその数字を探してください。
経過月数60の売上高の数字は図53とおり、②のところにありますので、巻頭折込の図51でその数字を探してください。
図51のシミュレーション表上で、①と②の部分の数字を見つけましたら、その数字に鉛筆かボールペンで●印をつけてください。
次に同じく経過月数が49のところの年間LTVの数字を見つけて●印をつけてください。
経過月数が49の年間LTVの数字は図53のとおり、③のところにありますので、巻頭折込の図51でその数字を探してください。
シミュレーション表上で、3つの数字に●をつけましたら、上の図54の数字と同じであることを確認してください。
数字が一致しましたらOKです。
年間LTVについては、前述したとおり、毎月大きく変化する物ではないので、この表では1年ごとに入力するようになっています。
したがって49ヶ月のところに入っている年間LTVの2.5万円は、60ヶ月のところも同じで2.5万円となります。
つまり巻頭折込図51の5年で売上100億円を超える広告投資シミュレーション表では、60ヶ月後、つまり5年後の、年間LTVは2.5万円、年間稼働顧客数は約42万人
で2.5万円と42万人を掛け算して、5年目の年商が、約105億円・
という計画になっているのです。この年商105億円というのは、5年目の1年間の売上のことで、5年間の類型売上ではないので注意してください。
稼働顧客数が月次売上の先行指標
さらに重要なので、年間LTVと年間稼働顧客数についてお話します。上の図55は、巻頭折込図51の5年で売上100億円を超える広告投資シミュレーション表の年間LTVと年間稼働顧客数の伸びを折れ線グラフで表したものです。
ご覧のとおり、年間稼働顧客数はスタート次の一千人から5年後には約42万人にまで増え、数が420倍になり、右肩上がりの曲線で伸びています。折込図51の5年で売上100億円の超える広告投資シミュレーション表では、1年目はEC広告のみでスタートし、2年目からは新聞折込チラシ広告もスタートさせ、4年目からはテレビ広告も行う計画になっています。
年間稼働顧客数が4年目から急激に伸びている理由は、テレビ広告による効果です。テレビ広告を始める4年目の初めは売上が35億円を超えているので、テレビ広告に投資することは可能です。
一方年間LTVのほうは1万二千円からスタートして、5年後は2.5万円になっています。折れ線グラフで伸びを見ると低い位置で低迷しているように見えますが、年間LTVは1年の間にお客様一人が平均して買ってくれる金額ですから、これぐらいの金額が一般的な金額のラインです。
ですから100億円を達成するためには、
何百倍も数を伸ばすべきものは年間稼働顧客数
なのです。さらに経営にとって大事なことは、
年間稼働顧客数が月次売上の先行指標である
という事実です。
上の図56は、年間稼働顧客数と月次売上金額の推移を示したのものす。ご覧の通り先に年間稼働顧客数が減り出して、その後売上の減少が始まっています。経営者や販売責任者が注意しなければならないのは、年間稼働顧客数の減少が始まったときです。なぜなら、月次売上は年間稼働顧客数が減少し始めても、数ヶ月は伸び続けるので、その減少にぃづかないことが多いからです。
なぜ売上の減少が遅れるかと言えば、売上の8割をもたらしてくれる優良顧客よりも、おつきあいの浅い、売上金額の少ない顧客のほうから減り始めるからです。なので、数ヶ月は売上に影響が出ず、逆に売上が伸びることがあるのです。
実はやずやが1997年、売上30億円を手前にして、売上が20億円へと急降下したのは、年間稼働顧客数の現象に気づくのが遅れたことが1つの要因でした。このように年間稼働顧客数は経営者にとって常に注意しておくべき指標なのです。
広告投資計画を成功させる重要ポイント
ここまでお読みいただいて、とにかく年間稼働顧客数の推移に注目して、年間稼働顧客数を継続的に増やしていけばいい、ということをご理解いただけたと思います。ではどうやって年間稼働顧客数を継続的に増やしていくかについて説明しましょう。
まず年間稼働顧客とは、1年間に1回以上買ってくれたお客様のことですが、そもそも一口に顧客と言っても、新規客と既存客と離脱客の3つがあります。結論を先に言えば、稼働顧客数を継続して増やしていくには、
①新規客を継続して増やす
②既存客にリピートしてもらう
③離脱客を戻す
の3つのことを同時に行う必要があります。この3つについて、それぞれ経営者や販売責任者に知っておいて欲しいポイントを説明しましょう。
①新規客を継続して増やす
新規客を集客するには、広告費を使って広告する必要があります。広告しなければ、新規客を集客できないので年間稼働顧客数は増えません。増えないどころか、年間稼働顧客数は減少します。まずは、
ダイレクトマーケティングモデルとは、広告投資を最優先するビジネス
であることを理解してください。
今、ダイレクトマーケティングモデルの会社で、売上が低迷している会社の多くは、広告投資をケチっている会社です。
広告投資をケチると、確実に年間稼働顧客数が減って、経営が悪循環に陥り、売上30億円以下の会社は3年で売上が3分の1間で下がるケースもあります。ダイレクトマーケティングモデルで成功しようと思うなら、広告投資に対して躊躇しては行けません。
これは1年単位の利益を重視するようなPLの志向の会社ではダイレクトマーケティングモデルを実践することは難しいということでもあります。ダイレクトマーケティングモデルに取り組むためには、将来の利益を細田歯科するための投資を重視するファイナンス志向で取り組まなければいけないのです。
例えば、その代表的な例としてアマゾンがあります。アマゾンは着実に先にあげた3つの新規客を継続して増やす、既存客にリピートしてもらう、離脱客を戻すを実践し、積極的に研究開発、商品開発、広告宣伝に投資しています。
ですから、5年で売上100億円を目指すのであれば、広告投資を含めた経費を大きく使って、将来の利益を大きくしていくファイナンス志向で、広告や顧客管理システムに投資する必要があるのです。
例えば、粗利7割以上の商品をダイレクトマーケティングモデルで販売して、売上が20億、30億になってくると、利益もしっかり出るようになります。しかしこの段階で満足して広告投資を止めると、何十年かかっても売上100億円には到達しません。
巻頭折込図51のシミュレーション表でいえば、3年目に入ると、年商が約30億円になります。そして3年目の1年間で使う広告費は約12億9千万円のお金が残るわけですが、広告投資を止めると、売上100億円には到達しません。
最初の1年間で集客する新規の数と広告費
ここで巻頭折込図51のシミュレーション表では最初の1年間でどれくらいの広告費を使って新規客を集客するかをみてみましょう。次ページの図57をみてください。最初の1年間に集客する顧客の数は1万2千人となっています。折込の表で1万2千人を確認したい場合は、シミュレーション表の中の経過月数12のところの新規顧客数の数字をみてください。見つけやすいように、ブルーの四角で囲んでいます。
次に1万2000人の新規客を集客するのに1年間で使う広告費ですが、図57の通り、9600万円となっています。
この数字も折込の表で確認したい場合は、経過月数12の年間新規広告費のブルーの四角で囲んだ数字をみてください。
そして1年間で得られる類型売上は、図57の通り、1億4400万円となります。これも巻頭折込の表で確認したい場合は、経過月数12の売上高のピンク色の四角で囲んだ数字をみてください。
要するにシミュレーション表では、
1年間で集客する新規客の数→一万二千人
1年間で使う広告費→9600万円
1年間の累計売上→1億4400万円
となっていますが、一人の新規客を集客するのに、どれくらいの広告費がかかっているかというと、1年間で使う広告費を1年間で集客する新規客の数で÷と算出できます。
つまり8000円となります。CPOの金額としては、一般的な数字です。ところで1年目の広告費は9600万円ですが、5年目となると54億円となります。そう聞くと、そんなにお金を使って大丈夫と不安に思う人もいることでしょう。
実は私も最初は不安でした。しかし1章で述べた通り、正式なBSの下に顧客BSの図と金額を記入して、3年先まで得られる年商を見ることで、広告投資に対する不安はなくなりました。
私のこれまでの経験では、年間稼働顧客数が年々増えている状況にあれば、3年後までの年商は下振れすることはほぼありません。
またもし突発的な金融危機が起こって景気が悪化したり、災害の被害にあうようなことが起きた場合は、一時的に広告投資を中断すれば、その分のキャッシュは残りますので大丈夫です。
②既存客にリピートしてもらう
100億円ロケット・マーケティングは、リピートが起きる商品で行うことを前提にしています。梅沢式のCPテストのアンケート調査を実施し、是非買いたい&買ってみたい率が70%以上の商品ならば、リピート商品だといえます。
しかし、そのような商品パフォーマンスがいい商品であっても、ダイレクトマーケティングモデルで販売する場合、何年もお客様にリピートしてもらうには、顧客フォローの仕組みを作って、お客様との関係性を強くし、お客様が流出しないような手を打つ必要があります。
お客様との関係性を強くする仕組みは、このあと10章で解説しますが、どんなに良い商品であっても、またどんなに多く新規客を集客しても、顧客フォローをしなければ、年間稼働顧客数は増えて行きません。
ここで、巻頭折込の図51の項目「稼働顧客残存率」の行をみてください。図58がその行をピックアップしたものです。ご覧の通り、5年で売上100億円を超える広告投資シミュレーションでは顧客の数がゼロからスタートしますので、1年間は稼働顧客残存率は100%となります。
2年目、3年目、4年目になるにつれて、稼働顧客残存率が下がっていって、5年目には稼働顧客残存率は55%となっています。現在、通販などダイレクトマーケティング事業をされている会社の方が、この稼働顧客残存率の数字を見ると、高い!と思うことでしょう。なぜなら、2年目の稼働顧客残存率が30%を切っている会社がざらにあるからです。しかしそのような会社の多くが、お客様との関係を強くする顧客フォローを実施していません。
しかし10章で紹介する西野式の顧客離脱防止法をきっちり実施していただければ、2年目の稼働残存80%も実現可能です。
ここで図59をみてください。図59の絵は、バケツが傾き底に穴が開いているため、水を注ぎ続けても、上から入った水はバケツには入らず溢れ出してしまい、バケツに入った水もそこからどんどん漏れています。これは新規客を集客し続けても、お客様がバケツから溢れ出て既存客にならず、そこからも既存客が流出するので、年間稼働顧客が増えないことを表しています。
10章でお話する私の顧客離脱防止法は全部で3つの仕組みがありますが、そのうち2つは稼働顧客をバケツから流出させないための仕組みです。
③離脱客を戻す
顧客離脱防止法の3つの仕組みの残り1つは、前ページの図59にあるように、初回購入から1年以上購入がない非稼働顧客になってしまったお客様をもう一度、稼働客に戻す仕組みです。これも大切な仕組みです。
注意が必要なのは、非稼働顧客になると、時間がたてばたつほど、稼働顧客に戻る確率が低くなるということです。私の経験では、非稼働顧客は1ヶ月立つごとに0.1%ずつ、稼働顧客への復活率が下がっていきます。
ですから非稼働顧客になったお客様に対して、毎月定期的にフォローする必要があります。この仕組みも10章で詳しくお話しますが、このような既存のお客様、あるいは非稼働顧客となったお客様に対しておこなう顧客維持コストは、費用でなく広告投資と考えましょう。
ちなみに、一人のお客様を非稼働顧客から稼働顧客へ戻すコストは、一人の新規のお客様を集客するコストの30から40%でできます。
よってすでにダイレクトマーケティング事業をやられていて、非稼働顧客が多い会社は、新規客を集客すると同時に隠れた資産である非稼働顧客の復活に投資してください。
ロケットのように急カーブで売上を上げるメリット
最後に本書の100億ロケット・マーケティングを使い、急カーブで売上を上げるメリットを説明しておきます。
短期間に売上を上げるメリットは商品上の理由と販売上の理由の2つがあります。まず商品上の理由ですが、梅沢式で作った未充足の強い顧客ニーズに答えた新カテゴリーの商品は、発売後にそのカテゴリーの市場で、カテゴリー代表度が50%を超えると、そのあとは広告費をそれほど使わなくてもロングセラー商品になって売れ続けることが、梅沢が行った調査でわかっています。
ここでいう、カテゴリー代表度50%とは、あるカテゴリーの中で思い浮かぶブランド名を答えてもらうというアンケート調査で、調査対象者の50%の人が答えたブランド(消費名)がカテゴリー代表度50%の商品です。
例えば、カテゴリー代表度が高いブランドとして、食品包装用ラップのサランラップや男性用シェービングフォームのシック、宅急便のクロネコヤマト、カビキラーなどいろいろありますが、そのような商品はそれぞれのカテゴリーでカテゴリー代名詞となっています。
つまり梅沢式の新カテゴリーの商品は発売当初はそのカテゴリーで類似商品がないのでナンバーワン商品としてスタートしますが、売れだすと協業商品が出てくるので、発売後はいちはやくカテゴリーの代名詞となるよう、広告で知名度の率である知られる率をあげて、カテゴリー代表度50%を超える必要があります。そうすることで梅沢式の売上予測シミュレーションで計算した、最多の売上に近づけることができます。
5年で売上100億円を超える広告投資シミュレーションでは目安として、1年目に1つの商品、3年目に2つの商品、5年目に3つ目の商品を発売することを想定していますが、それら3つの商品の売上を伸ばすために、集中的に広告して、知られる率をあげ、カテゴリー代表度50%を越えれば、あとは衛星と同じように、強力なエンジンがなくても何年も売上に貢献してくれるのです。
もう一つの販売上の理由はわたしの経験から得たものです。
大きな目標を目指す場合、3年では、さすがに時間も足りないので、準備不足で終わってしまうこともあるでしょう。かといって10年では世の中が大きく変わってお客様の嗜好も変わり、目標に届かない可能性があります。
必ず100億円を達成するという決意を固め、躊躇なく投資をするには5年間という期間はちょうどよい期間であるといえるでしょう。
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