自社で自由にシミュレーションしてみよう
この章では、読者の皆さんに自由に広告投資のシミュレーションを行っていただきます。
管轄に掲載しているURLから広告投資シミュレーション表のエクセルデータをダウンロードしてお使いください。ダウンロードしたエクセルデータはまず保存用として1つ残ししコピーしたデータをお使いください。
データへの入力自体は簡単で、エクセル初心者での大丈夫です。
今までエクセルを一度も使ったことのないかたは、まず本章をおよみいただき、入力する項目を理解したあとで、エクセルの得意な人にシミュレーション表をダウンロードしてもらい、その人の横に座って入力する数字をいろいろ指示してシミュレーションを行ってください。
こもシミュレーションのメリットは、経営者がこの計画でやろう!という広告投資計画ができるまで、何度も数字を入れなおして自由に試せること、そして、シミュレーションすることで、広告投資で売上を伸ばす重要な要因を理解できることです。
ではさっそく、広告投資シミュレーション表の入力項目をみていただきましょう。
次ページ図60をご覧ください。ご覧のとおり、5年の広告投資シミュレーション表の項目は全部で16あります。そのうち入力が必要な項目は朱色で囲まれた7つの項目です。
その7つの項目のうち②の年月はシミュレーションが完成したあとで入力してもいいので、必須ではなく任意の入力項目です。
また⑦の最初の年間稼働顧客数は、これからダイレクトマーケティング事業を始める方は入力不要です。よって、必須の入力項目としては、次の5つとなります。
①稼働顧客残存率
②購買単価
③顧客回転数
④新規顧客数
⑤CPO
図60で自動計算で表示と書いている項目は、必須の入力項目に数字を入れると、自動的に計算されて数字が表示される項目です。各項目の詳細は、このあとひとつずつ説明しますが、まず、
シミュレーションは1年ごとに表を完成させる
ということを頭に入れてください。
例えば5年で売上100億円を目指す広告投資シミュレーション表では、1年目の売上目標は約1億4000万円、2年目は10億5000万円、5年目は約104億円となっています。
自社の5年後の売上目標を定めたら、その目標を達成するための各年の目標を達成するための各年の目標売上を決めてください。そして1年目の売上目標が決まりましたら、その目標を達成できるまで、必須の入力項目に数字を入れましょう。
特に、売上を大きく上下させる項目は新規顧客数です。この項目にいろんな数字を入れてみてシミュレーションすれば、1年目の売上目標をクリアするために必要な新規顧客の数がわかります。そして1年目のシミュレーションが終わりましたら、2年目、3年目、4年目、5年目へと1年ごとに完成させていきましょう。
ではシミュレーションの項目を上から順番に説明します。
①経過月数
経過月数という項目は、シミュレーション表の一番上と、下から2番目のところの2カ所に入っています。経過月数にはエクエルデータに初期設定ですでに数字が入っていますので、入力は不要です。
例えば経過月数の1は5年計画をスタートさせる最初の1ヶ月目のことで、経過月数の12は、12ヶ月目を意味します。さらに経過月数の13は2年目のスタート月、25は3年目のスタート月、37は4年目のスタート月となります。
最後の60は5年計画の最終月となります。
②年月
年月は図62のように、5年の広告投資計画をスタートする年月から、60ヶ月分入力する項目です。ただ入力するタイミングはいつでもよく、かりに年月の項目に入力しなくても、シミュレーションすることは可能です。
つまり、年月は入力項目の1つではありますが、必要になったときに年月を入力すればいいので、必須ではなく任意の入力項目となります。
新商品が出来上がって、広告をスタートする年月が確定するまでは、この項目は入力せず、先にシミュレーションを始めましょう。
③稼働顧客残存率
稼働顧客残存率とは、これまでに集客した累計の新規のうち、年間稼働顧客数(この1年間に1回以上買ってくれたお客様の数)が占める割合のことです。シミュレーション表では、稼働顧客残存率は1年ごとに入力します。
※これからダイレクトマーケティング事業を始める方
新たにダイレクトマーケティング事業を始める方は、最初1年目の稼働顧客残存率は100%を意味する100と入力してください。2年目以降については10章で解説する西野式「顧客離脱防止法」を実践したいだくことを前提に、5年で売上100億円を超える広告投資シミュレーション表と同じ2年目70%、、、、を目標の稼働顧客残存率として入力しましょう。
ところでこれからダイレクトマーケティング事業を始める場合、なぜ最初の1年目の稼働顧客残存率が100%なのかを説明します。まず稼働顧客残存率の稼働顧客とは、これまでお話してきた年間稼働顧客と全く同じものです。
年間稼働顧客とは、1年の間に商品にを1回以上買ってくれたお客様という意味でした。つまり、購入してから1年間は稼働顧客となりますので、集客した新規客は1年間、全員稼働顧客としてカウントされます。
5年で売上100億円を超える広告投資シミュレーション表では、顧客ゼロからスタートすることを想定していますので、稼働顧客残存率は100%となるわけです。
さらに5年で売上100億円を超える広告投資シミュレーション表の2年目の稼働顧客残存率は70%となっていますが、これは10章で解説する西野式「顧客離脱防止法」を実践していただくことを前提にした数字です。
そうでなければ、2年目の稼働顧客残存率は70%にはなりません。実際は、自社の稼働顧客残存率が30%を切っている場合も多いかもしれませんが、西野式をしっかり実践していただれば、2年目の稼働残存率80%も夢ではありません。
※すでにダイレクトマーケティング事業をやっている方
すでにダイレクトマーケティング事業をやっている方は、自社の稼働顧客残存率を1年目の稼働顧客残存率のところに入れてください。2年目以降は、目標とする稼働顧客残存率を入力してください。稼働顧客残存率の計算のやり方は、前ページの図64で示した計算式を使って算出してください。
実際にシミュレーションするとおわかりいただけますが、稼働顧客残存率の項目に、70%とか80%を入れた場合と、20%や30%など低い数字を入れた場合とでは、年間稼働顧客数と売上高の伸びが全然違ってきます。
例えば5年で売上100億円を超える広告投資シミュレーション表では、新規客を広告によって、右肩あがりに増やし、5年で年間稼働顧客数を約42万人まで増やしますが、新規客が継続して増えている中でも、年間稼働顧客数が減少した月が3つあります。
その3つをピックアップした図が、次ページ図65です。ご覧のとおり、年間稼働顧客数が減少した1つ目の月は、2年目に入って稼働顧客残存率が100%から70%に下がった時、2つ目は、4年目に入って稼働顧客残存率が65%から60%に下がった時、そして、3つ目が、5年目に入って、稼働顧客残存率が60%から55%に下がった時です。
図65が示すように、前月比で「稼働顧客残存率」が下がると、「年間稼働顧客数」が減少することもあります。
売上30億円を目の前にしていたやずやが、1年で売上20億円まで下がったのは、年間稼働顧客数を減少させてしまったことが原因でした。その当時は、なんとなくリピートしていないなと感じていたものの、具体的な離脱対策をとっていませんでした。
このように既存顧客に対して離脱対策をしなければ年間稼働顧客数の減少が続きますので、西野式顧客離脱防止法の実践をおすすめします。
④購買単価(万円)
購買単価はお客様が1回あたりいくら購入するのかという金額です。商品単価とは違うので注意してください。シミュレーション表には、1年ごとに購入単価を入力します。
※これからダイレクトマーケティング事業を始める方
通常、ダイレクトマーケティング業界では、「商品単価」の1.5バイが購買単価になることが多いものです。これからダイレクトマーケティング事業を始める方は、商品の1.5倍の価格を購買単価として、最初の1年目スタート月に入力してください。
2年目以降の「購買単価」は、このくらいになるといいなという、目標とする「購買単価」を入力してください。購買単価の出し方は、前ページの図66の計算式を使って算出してください。
※すでにダイレクトマーケティング事業をやっている方
自社の購買単価がわかっている場合は、その価格を1年目の購買単価のところに入力してください。2年目以降の購買単価は、目標とする購買単価を入力してください。
購買単価は新商品をダスト数字が上下します。高価格の商品を出せば、購買単価は上がりますし、低価格の商品を出せば、購買単価は下がります。また買ってくれた商品に関連する別の商品や組み合わせ商品をすすめる「クロスセリング」を実施すれば、「購買単価」は高まりますが、2年目以降は、ご自身の目標とする購買単価を入れてください。
5年で売上100億円を超える広告投資シミュレーション表では、1年目の購買単価は6000円、2年目以降の購買単価は1万円で設定しています。
⑤顧客回転数(回)
顧客回転数とは1年間のうちに一人のお客様が買ってくれる平均の回数のことです。シミュレーション表には、顧客回転数は1年ごとに入力します。
※これからダイレクトマーケティング事業を始める方
最初の1年目の顧客回転数は、5年で売上100億円を超える広告投資シミュレーション表と同じ、2回転を意味する2.0を入力してください。2回転というのは、ダイレクトマーケティングでは、平均的な数字です。2年目以降は、ご自身の目標とする顧客回転数を目標数字として入れてください。
顧客回転数の出し方は、前ページ図67の通り、1年間のお客様(稼働顧客)に総購入数を年間稼働顧客数で破れば算出できます。
ところで顧客回転数は、顧客離脱防止法の顧客フォローの仕組みをしっかり回せば増やすことができます。しかし、増やすと言っても限度があります。
私の経験では、5回以上の顧客回転数はほとんどみたことがありません。そこで、5年で売上100億円を超える広告投資シミュレーション表では、1年目は、2回転、2年目以降はずっと、2.5回転で設定しています。
※すでにダイレクトマーケティング事業をやっている方
自社の顧客回転数を把握されている場合は、その数字を1年目の顧客回転数の項目に入力してください。2年目以降の顧客回転数は、目標とする顧客回転数を入力してください。
⑥年間LTV(万円)
年間LTVとは、1年のあいだに一人のお客様(=稼働顧客)が買ってくれた平均金額のことです。
この年間LTVの項目は、自動計算で数字が表示されますので入力不要です。
シミュレーション表では、経過月数1、13、25、37、49の5カ所で表示しますが、自動計算に必要な購買単価と顧客回転数の2つの項目に数字を入力しないと表示されませんので、注意してください。
図68にある通り、年間LTVは購買単価と顧客回転数の2つを掛け合わせて算出します。シミュレーション表では、この計算を自動で行い、計算した数字(結果)を表示します。
ところで年間LTVは前章でお話したとおり、売上(年商)を決める重要な要因の1つでした。売上(年商)を決める計算式を思い出してください。
売上=年間LTV×年間稼働顧客数でした。
5年の広告投資計画をスタートさせたあとは、経営者や販売責任者は、年間LTVが増加傾向にあるのか、減少傾向にあるのかを必ずチェックしましょう。
5年で売上100億円を超える広告投資シミュレーション表では、最初の1年目の年間LTVは1.2万円、2年目以降は2。5万円となっています。
私の経験では、特殊な商品でないかぎり年間LTVは2万円台が一般的で3万円を超えることはほとんどありません。
例外として、例えば商品ががんなどに効くと認知されている特殊なサプリメントなどの場合は、購買単価が10万円に近く、それにともなって、年間LTVが5万円以上という会社がありますが、こういう特殊な商品を除けば、一般的な年間LTVは2万円台が上限であるとお考えください。
⑦最初の年間稼働顧客数(人)
最初の年間稼働顧客数は、これからダイレクトマーケティング事業を始める方には関係のない項目ですので、入力不要です。すでにダイレクトマーケティング事業をやられている方は、過去1年間の年間稼働顧客数を最初の年間稼働顧客数の項目に入力してください。
年間稼働顧客数は、次の3つのデータがあれば、エクセルでも計算できます。
①顧客ID
②売上金額
③購入年月日
同じお客様が1年に複数回買ってくれても、一人の稼働顧客とカウントするように計算してください。
⑧新規顧客数(月間・人)
新規顧客数は1ヶ月で集客する新規客の目標人数のことです。1年目、2年目、3年目、4年目、5年目、それぞれ各年の売上目標を達成するために必要な「新規顧客数」の数字を入れて、シミュレーションしてみましょう。
この新規顧客数には、上限がないので、シミュレーションするときに、つきごとに数字を変えて入力できますが、シミュレーションを自由に行う段階では、ざっくりと12ヶ月間同じ数字を入れてシミュレーションしたほうが、結果的に自社が目標とする売上を達成するために、何人の新規客を集客すればいいか、その数字を早く見つけることができます。
月々の新規顧客数を細かく入力したい方は、まずは1年目の売上を達成するのに必要な新規客の総数をつかんだあと、季節変動などの要因を考慮して、月々の数字を微調整すればいいでしょう。
自社の売上目標を達成するために必要な「新規顧客数」がわかりましたら、その数字が1ヶ月に集客する目標の新規顧客数となります。
ちなみに5年で売上100億円を超える広告投資シミュレーション表では、最初の1年間で、1万二千人の新規客を集客する計画で、そのために12ヶ月間、毎年千人ずつ新規客を集客する設定になっています。
⑨新規顧客数(累計・人)
新規顧客数は、5年に渡って毎月集客した新規客の累計数を表示する項目です。自動計算によって表示されますので、入力不要です。
ただし自動計算に必要な新規顧客数(月間・人)の項目に数字を入れないと、表示されないので注意してください。シミュレーション表の中で、5年に渡って累計を表示する項目はこの新規顧客数だけです。
5年で売上100億円を超える広告投資シミュレーション表では、千人の新規顧客数からスタートして、60ヶ月後、累計で76万二千人の新規顧客を集客する設定になっています。
⑩年間稼働顧客数(人)
年間稼働顧客数とは、1年の間に商品を1回以上買ってくれたお客様の数のことです。シミュレーション表では、この年間稼働顧客数を自動計算によって表示しますので、入力不要です。
図72のとおり、自動計算に必要な稼働顧客残存率と新規顧客数(月間・人)の2つの項目に数字を入れると、自動計算で、年間稼働顧客数を表示します。
自動計算に必要な稼働顧客残存率と、新規顧客数の項目に数字を入れないと、年間稼働顧客数は表示されませんので注意してください。
この項目の自動計算式は図72のとおり、新規顧客数(累計・人)に稼働顧客残存率をかけて、年間稼働顧客数を算出します。
繰り返し述べたように、5年の広告投資計画をスタートさせたあと、経営者や販売責任車が自社の目標を達成するために、その達成度合いを計測して定期的にみなければならないKPIは、
年間稼働顧客数
です。
年間稼働顧客数が継続的に増えていれば、売上も安定して増え続けます。
私が顧客ポートフォリオマネジメントの考え方をつくったときに売上=年間LTV×年間稼働顧客数という、売上の概念を持つようになり、年間稼働顧客数に注目するようになりました。前章でもお伝えしましたが、年間稼働顧客数をみ続けた結果、わかったことがあります。それは年間稼働顧客数は未来の売上の先行指標になっているということでした。
だからこそ常に年間稼働顧客数の変化には注意を払わなければいけないのです。この年間稼働顧客数は、新規の集客数とともに稼働顧客の再購入率が鍵となりますので、それ以後は顧客のリピートについて言及する場合は、稼働顧客残存率を使用するようにもなりました。また稼働顧客残存率を落とさないために西野式顧客離脱防止法を編み出したのです。
西野式顧客離脱防止法を実践し、経営上、年間稼働顧客数が目標通りに推移していれば、売上(年商)はシミュレーション通りに推移しますので、是非年間稼働顧客数の変化には常に注目するようにしてください。
11,売上高(年計・万円)
売上高とは、1ヶ月の売上ではなく、当月を含む過去1年間の売上のことです。シミュレーション表では、この売上高を自動計算で表示しますので、入力は不要です。前ページ図73に自動計算式を示しています。
ダイレクトマーケティングモデルで売上を決める、計算式に基づいて算出しています。
ちなみに売上高と売上は同じものと理解してください。この売上高を自動計算で表示させるには、次の4つの項目に数字を入れる必要があります。
①稼働顧客残存率
②購買単価
③顧客回転数
④新規顧客数
図74はこれまでに繰り返し説明した、ダイレクトマーケティングの売上の計算式です。
年間LTVと年間稼働顧客数を掛け合わせた数字が、売上となります。
ここで売上高の年計について説明します。図75は1年間の累計額を1ヶ月ずつ移動させて計算した年計です。
シミュレーション表の売上高は、1ヶ月ずつ移動させる年計でみます。
売上高を年計で見るメリットは、例えば、夏によく売れる商品やあるいは、冬によく売れる商品などを販売する場合、季節によって、1ヶ月の売上高が大きく上下します。また偶発的な出来事などが起きた場合も、1ヶ月の売上高が大きく上下します。
経営者や販売責任者が売上高を見るときになんらかの要因によって、上下する毎月の売上高をみていても、経営上、正しい判断ができません。
一方売上高を年計で見れば、当月を含む過去1年間の売上を毎月みますので、季節変動や偶発的な要因による売上の上下は吸収されて、売上が自社の目標に向かって順調に増えているか、減っているかの傾向がすぐにわかります。
ダイレクトマーケティングでは、年間稼働顧客数や、年間LTVそして、購買単価や顧客回転数、稼働顧客残存率など、重要な項目はすべて1年12ヶ月単位で数字を見ることを頭に入れてください。
12. CPO(万円)
CPOとは、Cost Per Orderの略で、一人の新規客を集客するのに必要な広告費のことです。
シミュレーション表では必須の入力項目で、毎月入力してください。実際に広告を始めるとわかりますが、商品や広告媒体によって、CPOは大きくばらつきます。
シミュレーション表に入れる数字は、目標とするCPOの数字を入れてください。そしてそのCPOの数字に近づけるように、広告を行っていきます。
※これからダイレクトマーケティング事業を始める方
はじめて広告投資をする方は、最初の1年目は5年で売上100億円を超える広告投資シミュレーション表と同じ、8000円の0.8をCPOの項目に入力してください。
最初の1年目はECだけで広告をすることを想定しています。EC広告でCPO8000円は一般的な金額ですので、1年目はCPO八千円を目標にしましょう。
2年目以降のCPOは過去1年で行った、様々な広告の平均CPOを参考にして、目標とするCPOを入力してください。
5年で売上100億円を超える広告投資シミュレーション表では、1年目から3年目までのCPOが8000円、4年目が1万1000円、5年目が1万五千円で設定しています。
シミュレーション表の欄外下をみていただくとわかりますが、最初の1年目はEC広告だけで行うという設定になっています。売上の上昇にともなって、新聞折り込みチラシ広告やテレビ広告をやっていきますが、媒体によってCPOが違ってきますので、自社でどのような広告をやるか考慮して、目標とするCPOを入力してください。
※すでにダイレクトマーケテイング事業をやっている方
これまでに自社で行った広告のCPOを参考にして、目標とするCPOを入力してください。次章で具体的な広告のPDCAの回し方を説明しますが、
経営者や販売責任者が広告の成果を判断する指標はCPOです。
広告代理店にEC広告を依頼すると、広告の効果を説明するときに、CVRとかPVなどいろんな専門用語を使って説明してくれますが、広告投資で一番大事な指標は、広告によって商品が売れて、一人の新規客を集客するのにいくらかかったのかというCPOだけです。それ以外の指標は広告投資の判断には不要です。次々と新しい広告の専門用語が出てきますが、惑わされずCPOだけを見るようにしましょう。
13.当月新規広告費(万円)
広告新規広告費は1ヶ月で使う広告費のことです。シミュレーション表では、自動計算で当月新規広告費を表示しますので、入力不要です。前ページ図77の通り、「当月新規広告費」は、新規顧客数とCPOを掛け合わせています。
CPOは一人の新規顧客を集客するのに必要な広告費ですから、1ヶ月で集客する目標の新規顧客数がわかれば、1ヶ月の広告費が計算できます。
当月新規広告費は、新規顧客数とCPOの項目に数字を入れない限り、数字は表示されないので注意してくdささい。
14。年間新規広告費(累計)
年間新規広告費は前述の当月新規広告費を1年間累計する項目です。シミュレーション表では、自動計算で、年間新規広告費(累計)を表示しますので、入力不要です。
毎月の広告費の1年間の累計ですから、経過月数の12、24、36。48、60のところの年間新規広告費(累計)を見れば、1年目の1年間に使った広告費の総額、がわかります。
この項目は必須の入力項目である「新規顧客数」とCPOに数字を入れると当月新規広告費とともに表示されます。
15。経過月数
15番目の項目経過月数は1番目の項目の経過月数と全く同じです。エクセルデータに初期設定で数字が入っていますので入力は不要です。
16.売上高広告費率(年間)
シミュレーション表の一番下に位置する項目の売上高広告比率は1年間の売上に閉める広告費の割合です。自動計算で数字が表示されますので、入力不要です。
売上高広告費率はシミュレーション表の各年の最終月、経過月数でいうと。、12、24、36、48、60のところに表示されます。
5年で売上100億円を超える広告投資シミュレーション表では、1年目の売上高広告比率は67%、2年目。37%、3年目、36%、4年目33%、5年目52%となっています。
1年目の売上高広告比率67%をご覧になって、広告費の比率が高い!と驚く人もいるでしょう。
私がやずやの創業者やず社長に1000万円の資金を出してもらって立ち上げた九州自然館で、多い月で前月の売上の8割を広告に投資したことがあります。それができたのも。社員が二人で固定費が少ない方が断然有利です。私の経験からいうと、売上1億円に対して社員一人ぐらいが理想といえます。
たとえば、今現在、労働集約型や設備集約型のビジネスをやっていて、これからダイレクトマーケティング事業も始めようと考えているかたは、固定費が高い本業とは切り離して別会社を作ってやられることをおすすめします。
以上が、シミュレーション表の項目の説明です。
顧客管理と数字(結果)管理
最後に広告投資をスタートさせたあとの顧客管理と数字(結果)管理について説明します。
自社の5年の広告投資シミュレーション表が出来上がり、その計画に基づいて、実際に広告投資をスタートしたあとは、経営者や販売責任者は、年間稼働顧客数が目標どおりに推移しているのかを定期的にチェックしなければなりません。
できれば毎週、最低でも月1回は年間稼働顧客数をみてください。なお、毎週年間稼働顧客数をチェックする場合は、1年間の稼働顧客数を1日ずつ移動して計算した、年間稼働顧客数を見る必要があります。
前述したとおり、年間稼働顧客数が目標どおり推移していれば問題ありませんが、そうでない場合は、原因を調べ、解決すべき課題を見つけて対策を実行する必要があります。
5年で売上100億円を超える広告投資シミュレーション表では、1年目に集客する新客の数が1万二千人で3年目には10万人を超えますので、広告投資をスタートする前に顧客管理と数字の管理について、自社で独自のシステムを構築するか、市販のソフトを導入するかを決めて準備する必要があるでしょう。
その場合、1章で、システムにかかる必要も広告投資の一部と考えましょうと申し上げましたが、広告投資をスタートさせる前に管理システムも準備しましょう。
例えば、次ページ図80のような年間稼働顧客数、年間LTV、購買単価、顧客回転数などの推移が一覧表示される分析システムを用意します。
分析システムを用意し、各指標を毎月一覧表示することで、事前におこなったシミュレーションとの差をすばやく把握します。分析システムを用意することで、打つべき対策を早期に実施しましょう。
例えば、年間LTVが下降傾向にある場合、年間LTVは購買単価と顧客回転数という2つの要因にわけられますので、購買単価と顧客回転数では違う対策を考える必要があります。
購買単価を上げる場合は、クロスセリングの促進や、次に出す新商品は付加価値が高い商品を用意すること。また顧客回転数を上げる場合は、顧客フォローの頻度や内容の見直しをするなどです。
このように事前におこなったシミュレーションとの差をすばやく把握し対策を打つために、是非角指標を一覧で把握できるシステムを使うようにしましょう。
管理システムについては、自社で構築されてもよいですし、もしも、簡易的なシステムで素早く実践したい場合には、図80の分析システムを提供するリピート顧客倍増実践会のシステムを使用されることをおすすめします。
http://www.1cpm.jp/
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