ダイレクトマーケティング(直販)モデルでお客様と直接繋がろう
100億ロケットの強力なエンジンは広告です。
100億ロケット・マーケティングでは商品の魅力をたくさんの人に知ってもらい、たくさんの人に買ってもらうために広告に投資していきます。
ちなみに「新カテゴリー」「商品コンセプト」「商品パフォーマンス」の3つのピースが揃った商品で、カテゴリーの代表度を高める努力をするならば、他社の後発商品がでてきても50%以上のシェアを抑えられますので、ナンバーワンの座を容易に奪われることはありません。発売後、商品がカテゴリーの代名詞となるためには集中的な広告投資が必要です。
そこでまず、投資する上でかかせない条件は、広告の費用対効果を数値で掴むことです。広告媒体ごとの費用対効果を数値で検証できなけえれば、怖くて広告投資を続けられません。例えば、新車が発売されると、テレビCMや雑誌、新聞広告で宣伝されますが、車はディーラーやショップを通じて販売されるので、自動車メーカーは広告媒体ごとの費用対効果を数字で掴むことはできません。
広告が新車の認知度アップや企業イメージアップに貢献することは確かですが、広告媒体ごとに車が何台売れたか、どこの誰が買ったかは、改めて調査をしなければわかりません。
これは卸など流通を通して店舗で売る商品の場合も同じです。当たり前ですが、資金が潤沢な大企業ならまだしも、中小企業が広告投資を行う場合、費用対効果がわからない状態で、投資を継続していくとは不可能です。
特に5年で売上100億円を目指す場合は、大きなお金を広告に投資しますので、たんに今回の広告はよかった、悪かったというだけでは経営を危うくします。
100億ロケット・マーケティングでは、広告の費用対効果を数字で把握しながら、広告投資のPDCAサイクルを回していきますので、販売モデルは広告の費用対効果を数字で測れる、
ダイレクトマーケティングモデル(直販モデル)
であることが前提となります。
ダイレクトマーケティングは、外部の流通チャネルを介さず、広告やメディアを通じて売り手が直接お客様とつながり、お客様が売り手から直接、商品を購入することで、売り手は広告の反応を計測でき、さらに獲得したお客様データを活用して、販促キャンペーンを仕掛けることもできます。
いわゆるダイレクトマーケティングとは、お客様と企業の間で双方向のリレーションアップ(結びつき)を構築していくマーケティング手法で、大企業と比べ流通支配力に欠ける中小企業に適したい物です。
通信販売もダイレクトマーケティングモデル(直販モデル)の一種ですが、中小企業が広告投資を継続していく場合、ダイレクトマーケティングモデル(直販モデル)が適しています。
インターネットが社会のすみずみにまで浸透した今、どの会社でもダイレクトマーケティングモデルを構築しやすくなっています。製造業、建築業、金融、保険業、不動産業、サービス業、卸、小売業どの業界でもゼロから始めることができます。
もし今の時点で、ダイレクトマーケティングモデルの事業を手がけておられない場合は、多角化の新事業として、あるいは後継者がゼロから立ち上げる事業として取り組まれることをおすすめします。
3年で20億から100億円へ
かつて私は、健康食品の通販会社「やずや」で経営企画とマーケティングを担当し、3年で売上20億円から100億円へと、ほぼ計画どおりに売上を伸ばすことができました。
それは香醋などの商品に広告投資し、費用対効果を数字で分析しながら、確信をもって広告のPDCAを回すことができたからです。
やずやは現在、定期的にリピートしてくれる優良顧客層が厚く、ちょっとやそっとではびくともしない高収益企業に成長しています。
さらにやずやが新たに立ち上げた九州自然館では、私と社員4名で、顧客ゼロ、商品ゼロの状態からスタートし、わずか3年半で売上20億円を超えましたが、それができたのも計画的に広告のPDCAを回すことができたからです。
ファイナンス志向の経営
グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンなど、いわゆるGAFAと呼ばれる企業を中心に今アメリカで急激に成長している企業の多くがDtoC、いわゆるECサイトを構築し、商品や情報を直接お客様に販売するビジネスモデルです。
このビジネスモデルも、お客様と直接つながり、双方向のコミュニケーションがとれるダイレクトマーケティングの一種です。そして、GAFAのいずれもが、将来に大きな構想を持ち、その実現のために目先の利益を最大化することなく、利益の多くを技術研究や商品開発、そして広告宣伝に投資しています。
つまり1年単位で利益を最大化する、いわゆるPL志向の経営ではなく、将来の利益を最大化するための投資を重視するファイナンス志向の経営を行い、積極的に、研究開発、商品開発、広告宣伝に投資しているのです。
PL志向では。売上を大きく、経費を小さくすることを考えますが、ファイナンス志向では、経費を大きく使って、将来の利益を可能な限り大きくしていくことに重点をおきます。
そんなことをしたら、会社にお金が残らず、何かあったときに大変だ!と萎縮していまう方もいるかもしれませんが、何か会った時は100億ロケット・マーケティングの場合、新規の広告を中断すれば、即座に経費が減って利益を残すことができます。
反対に、今売上が20億円、30億円あたりで停滞している会社は目先の利益を多くだすために経費を削っているケースが多く、将来のための投資をわずかしかやっていないか、あるいはまったくやっていないかのどちらかです。
経営者にとって、「売上を大きくすること」と「経費を小さくすること」そのどちらかが簡単かといえば、明らかに経費を小さくすることの方が簡単です。
ですから、守りの姿勢が強い経営者は、「経費を小さくすること」に傾倒しやすいですが、しかし将来の利益のために投資しなければ、目先に利益を得ることはできても、継続的に売上と利益を伸ばすことはできません。
例えばアマゾンは小売業であっても日銭を稼ぐという発送がありません。革新的な方法でより多くの顧客を引き付けるためのサービス開発とプログラム開発に、優秀な人材と年間2兆円もの大金を投入しています。その結果、売上は右肩上がりで伸びているものの営業利益率は低迷したままです。上場企業ですが、株主には一度も配当を出したことはありませんが、株主からは、株主利益優先より、顧客利益有線のほうが長期的成長につながるという評価を得ている。
ご承知のとおり、アマゾンのジェフ・ベゾスは2017年符号ランキングで長らく周囲にあったビルゲイツを抜いて、世界一の富豪となりました。もしジェフベゾスが極力経費を小さくせよのPL志向であったら、ここまでの成長はできなかったでしょう。ジェフベゾスは意図してファイナンス志向の経営を行っている。
そういう意味では、100億ロケット・マーケティングも、ファイナンス志向の投資モデルと言えます。利益を確定しようと思えば、いつでもできますが、5年という短期間で売上を100億円を超えるにはファイナンス志向でなければ不可能です。
広告によってお客様の数を増やしていく
100億円ロケット・マーケティングは、広告によって、商品を売っていくと同時に、自社の商品を買ってくれるお客様の数を増やしていきます。
そして得られた顧客データを構築し、活用して、商品を繰り返し買っていただく仕組みを作って行きます。
顧客データについては、近年、目に見える土地や設備と同様、資産価値として評価されるようになってきました。すでにアメリカでは、M&Aの際、企業がもつデータに巨額の値がつくようになっています。しかも財務諸表に出ないので、税金を払う必要もありません。
6章で、5年で100億円を超える広告投資シミュレーションをご覧抱きますが、5年間でどれくらいの数のお客様を獲得すれば売上100億円に到達するかが、一目瞭然でわかります。
100億ロケット・マーケティングでは、蓄積した顧客データが、会社に利益をもたらし、目に見えない資産となるのです。
販売力を決定づける2つの要因
広告投資シミュレーションの中には、重要な項目がいくつかあります。特に重要な項目が、
①年間LTV(ライフタイムバリュー)
②年間稼働顧客数
の2つです。
100億ロケット・マーケティングでは、この2つの要因をそれぞれ最大化することによって、販売力を最大化していくことになります。
復讐ですが、商品力を最大化するためには、新カテゴリー、商品コンセプト、商品パフォーマンスの3つが重要な要因でした。
対して、販売力の最大化は、「年間LTV(ライフタイムバリュー)」と「年間稼働顧客数」の2つが、重要な要因になることをまず頭に入れてください。
一つ注意していただきたいのは、「年間稼働顧客数」も「年間LTV(ライフタイムバリュー)も一年単位見ることです。
1年単位で見れば、増えているのか、減っているのかの変化が早く掴めるからです。したがって、本書でいう年間LTVは1年の間にお客様1人が平均して買ってくれた金額のことです。
年間稼働顧客数は、1年の間に商品を1回以上買ってくれたお客様の数ということになります。
図5のとおり、年間LTVと年間可動顧客数を掛け合わせたものが、年商となります。そしてその中でも年間可動顧客数を増やしていくことに重点をおきます。
なぜなら年間LTV、つまりお客様が1年間で使ってくれる金額を継続して増やすことは、現実として難しいからです。なぜならお客様が1年間に使えるお金はある程度決まっていて、収入が増えない限り、使えるお金は増えないからです。
一方年間可動顧客数については、制限なく増やし続けることができます。そして、一口に「顧客」と言っても、「新規客」「既存客」「離脱客」の3つがあります。
年間可動顧客数を継続して増やしていくには、
①新規客を継続して増やす
②既存客にリピートしてもらう
③離脱客を戻す
の3つのことが重要です。
特に1の新規客を継続して増やすということに、広告費を集中することが鍵になってきます。ただし、新規客はたくさんの商品を作って広告すれば集客できると考えるのは大きな間違いです。似たような商品が市場に溢れる中、新カテゴリーの商品でなければ、過剰状況から脱することはできず、新規客の集客も難しくなります。
2については、新規集客が難しいので、既存客の年間LTVを上げようとして、定期コースへ誘導するやり方がありますが、うまくいっていない会社が多いです。3については新規客を増やすと同時に離脱客をいかに戻すかということが重要です。
毎月売上の約35%を広告に投資せよ
100億ロケット・マーケティングは、売上100億円を超えるまでは、継続的に毎月売上の25%〜50%を広告に投資して、年間可動顧客数を増やしていきます。
「売上の25%から50%!そんなにお金を使って大丈夫?」と思うかもしれません。かつて私は、やずやグループの九州自然館を社員4人で立ち上げ、売上の80%を広告に投資したことがありました。顧客ゼロ、商品ゼロからわずか3年半で売上20億円を超えましたが。利益もわずかながら出しました。やずやと九州自然館での経験から、売上の多くを広告投資使うことは十分可能です。
ただしそのためには、社員を増やさないようにする必要があります。私の経験からゆうと売上1億円に対して社員1人ぐらいがあ目安です。売上が急激に増える状況の中で、社員を増やさないためには、ITを使った業務のシステム化が必要になりますが、その費用も広告投資の一部と考えましょう。
そして社員を増やさないという前提で、さらに次の3つの条件をクリアしていただく必要があります。
①商品の粗利は少なくとも7割以上あること(理想は8割)
②お客様が繰り返し買ってくれる商品であること(理想は3ヶ月から4ヶ月おき)
③西野式の顧客離脱防止法を実施する(顧客維持コストは費用でなく投資と考える)
①については、粗利が少ない商品だと広告に投資できません。梅澤理論にのっとった「商品コンセプト」と「商品パフォーマンス」の力がともに強い新カテゴリーの商品であれば、価格は自由につけることができるはずです。値決めは粗利が最低7割、できれば8割以上確保するように決めてください。
②については、梅澤理論にのっとった商品パフォーマンステストをクリアしていれば、お客様は再購入してくれるはずです。再購入の間隔は、3ヶ月から4ヶ月ぐらいが理想なので、商品は消耗品が適しています。
ただし、耐久材のように商品自体が3ヶ月ごとに買ってもらえるようなものでなくても、商品に付属する消耗品やサービスを繰り返し買ってもらうことで、売上を積み上げることができます。
例えば髭剃りであれば、髭剃りの刃であるとか、コピー機であればトナー、自動ドアやエレベーターであれば定期メンテナンスなど、できれば商品開発の段階で商品に付属する消耗品やサービスが何かないかと考えてみてください。
③については、お金をかけて獲得した顧客がリピートせずに離脱するケースが多い状態では、穴の開いたバケツで、一生懸命、水をくんでいる状態となって、稼働顧客数が順調に増えません。私が開発した西野式顧客離脱防止法で離脱を防止しましょう。具体的なやり方については、10章で解説します。
顧客BSを見れば、3年先までの売上が見える
私がやずやと九州自然館で恐れず広告に投資できた理由のひとつが、顧客BSなる物を見ていたからです。顧客BSという言い方は私がつけたもので、正式な財務諸表にはありません。図6の通り、顧客BSは、借方が顧客資産、貸方が事業リスクとなります。
顧客資産の金額は、年間LTVと年間稼働顧客数と3年を掛け合わせれば計算できます。私は正式なBSの下に、自分で顧客BSの図と金額を記入して見ていました。
ここで復讐しましょう。
年間LTVとは1年間にお客様が平均して買ってくれた金額のことでした。対して年間稼働顧客数とは、1年間に自社商品を1回以上買ってくれたお客様のかずでした。
そして年商は、年間LTVと年間稼働顧客数を掛け算した金額でした。
私の場合、顧客BSの顧客資産額は、年商の3倍で見ていました。なぜ3倍かというと経験上、3年先まで、ほぼ同額の年商を得ることができたからです。
例えば、年間LTVが2万円で年間稼働顧客数が1万人であれば、顧客資産額は、2万円×1万人で2億円、さらに3倍して6億円となります。つまり3年後までに得られる売上は6億円ということになります。
わかりやすいようにシンプルな事例にしていますが、実際は3年の間に年間LTVも年間稼働顧客数も変動します。しかし、年間稼働顧客数が年々増えている状況にあれば、3年後までの燃焼は下振れすることはありません。
ですからこの顧客資産額を見ていれば、広告投資に対する不安はなくなります。先に私は確信をもって広告投資することができたと述べましたが、その根拠のひとつがこの顧客BSの存在なのです。
5年で100億円を目指す広告投資シミュレーション表
巻頭に織り込んだ図51が5年で100億円を超える広告投資シミュレーション表です。表を見ていただくと、5年で売上100億円を超えるために、1年目、2年目、3年目、4年目、5年目の各年に、どれくらいの広告費を使い、どれくらいの新規客を獲得するか、そして年間稼働顧客数と年商がどのように伸びていくかが見て取れます。
まずはこの表で5年で100億円を超えるイメージを頭の中に描いてください。おそらく読者はそれぞれ、いろんな思いを抱くと思います。
いやぁ5年で100億円いくのは大変だ、から始まって、自分は10年で100億円行きたいとか、とりあえず3年で50億円の壁を突破したい、投下する広告費をもっと少なくしたい、中には5年でなく、3年で100億円行きたいという猛者もおられるかもしれません。
要するに、経営者であれば 自分で好きなようにシミュレーションしたいと思うはずです。その際は自分のイメージをシミュレーションしてみてください。
その際、1年後、2年後、3年後、4年後、5年後のなりたい姿を明確にイメージすることが大事です。なりたい姿や目標をはっきりさせて、それを目指して具体的に行動しないかぎり、なりたい姿は実現しません。
広告投資のPDCAを回す
5年で100億円を超える広告投資シミュレーション表を見ていただいたあとは、5年で100億円を超えるための広告のやり方について解説します。
スタート期、加速期、爆速期によって広告媒体が異なりますが、広告媒体が何であっても、費用対効果を見ながら、PDCAを回すことに変わりありません。100億ロケット・マーケティングでは、広告投資のPDCAを回すにあたって、どの広告媒体であっても同じ道具を使います。それは、
①広告投資検討表
②広告表現検討表
の2つです。
1つ目の道具の広告投資検討表は、広告の採算を見ながら広告投資を継続していくためのツールです。
いわば広告の量的(広告資金)PDCAを回すための道具で、主に経営者に使っていただきます。この部分はお金に関わることなので、社員に丸投げすることはできません。
刻々投資検討表の具体的な使い方は8章で解説しますが、これも読者に自由に使っていただくために、シミュレーションツールを専用サイトからダウンロードできるようにしてあります。
2つ目の広告表現検討表は、いろいろな広告原稿と媒体の組み合わせの中でどの組み合わせがもっとも売れるか、の仮説と検証をおこない、その結果を管理する表です。言うなれば広告の質的(クリエイティブ)PDCAを回すための道具で、主に社員に使っていただきます。すでに梅沢式表現コンセプトテストによって、商品が何であるか、どういいかを短い言葉で表現した新カテゴリー名や商品名、キャッチコピーなどが、一通り決まっていることを前提に、そのネーミングやキャッチコピー、写真などを組み合わせた広告原稿をいく通りも作り、どの広告原稿と媒体の組み合わせが一番売れるかをテストします。
現在、このようなクリエイティブテストで多く使われているのが、A/Bテストです。今回公開する広告表現検討表は、A/Bテストをさらに進化させた画期的なものです。詳しくは9章で解説します。
以上、100億ロケット・マーケティングの概要をお話しました。100億ロケットを設計図で表すと、巻末に織り込んだ図7となります。この設計図をもとに、いよいよ100億ロケットの発射準備に入って行きましょう。
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