計算式の基本から理解しよう
100億ロケット・マーケティングを実際に行う手順は、あなたの会社に勝利を呼び込む売上予測式フォーミュラーV(ダイレクトマーケティングモデル版)の計算式を理解することがからスタートすると、わかりやすいでしょう。
まずは巻末に織り込んだ図8を広げてみましょう。
一番上にある四角で囲んだ式が、フォーミュラーVの計算式です。ご覧の通り、掛け算だけのシンプルな計算式です。人目見て、え。こんな単純なの?これで売上が予測できるの?と驚くでしょう。
しかし本当に驚くのはこれからです。なぜなら物理学者のアインシュタインやホーキングが宇宙の起源をたった一つの数式で表すように、100億ロケット・マーケティングも1つの数式で表すことができるからです。
計算式に入る項目は、①から⑥までの6つ。数式が機能する前提として商品は新カテゴリーの商品に限ります。
前章で新カテゴリーの商品でなけば、ロングセラーにならず、売上が積み上がらないことを述べました。新カテゴリーの商品でなければ、そもそ100億円は目標は無理です。
ですから、100億ロケット・マーケティングでは、是非とも新カテゴリーの商品を準備しましょう。繰り返しになりますが、
100億ロケット・マケーティングの要は、新カテゴリー商品である
ということです。
またフォーミュラーVは新カテゴリー商品であることが前提のフォーミュラーです。もしも新カテゴリーの商品ではなく、競合商品がある場合は、競合商品の力やシェア、そして競合会社のブランド力などを数値化しなければならず、予測の精度が下がります。このことから必ず新カテゴリーの商品で計算行うようにしてください。
では新カテゴリーの商品を前提に計算式に入る項目を説明していきましょう・
①価格
いうまでもなく、商品の価格のことです。新カテゴリーの商品であれば競合商品の価格を考慮する必要がなく、商品の価値に見合う価格を自由につけることができます。
当然「価格」が高いほど売上は大きくなりますが、高くすると販売個数が減りますので、個数とのバランスを考えながら、売上が最大になるように価格をつける必要があります。
前章で述べた通り、価格は商品の粗利が7割以上になるようにつけてください。
100億円ロケット・マケーティングでは、アンケート調査を行い、商品が何であるか、どう良いかを示す商品コンセプトと価格を同時に提示して、顧客の解体気持ちの強さを調べます。そのアンケート調査で提示した価格を計算式の①の価格に入れます。
②顧客ターゲット数
顧客ターゲット数とは、商品を買ってくれる可能性のある人の数で、専門用語では、母集団の数のことです。顧客ターゲット数の条件は、やろうと思えば、その人たちすべてに広告で商品を告知できる人の数となります。
例えば商品が新カテゴリーの健康にいい水であれば、世界中の人が買う可能性がありますが、世界中の人に商品を告知することは不可能なので、国内で販売する場合は、日本の顧客数を調べてその数を②に入れてください。
考えるときの基本は、例えば商品がカーペットクリーナーであれば、カーペットを使用している世帯数がどれくらいあるかを調べます。この場合、世帯数が顧客数となります。カーペットがない家庭はカーペットクリーナーは必要ないので、絶対に買わないであろう人以外を顧客ターゲット数と定義するとよいでしょう。
また商品が新カテゴリーのビールであれば、ビールの消費量を1人あたりの商品量で割れば、ビールを飲む人の数が割り出せます。その数が「顧客ターゲット数」となります。国内のビール商品量や1人あたりの消費量は公開されていますので、簡単に割りだすことができます。
現在はインターネットが普及し、人口や商品者同行についての調査統計資料は総務省や内閣府、国民生活センターあるいは各業界団体のホームページで簡単に入手することができるので、大いに活用すべきです。
また商品と関連するベンチマーク(比較に用いる指標)を探して参考にするといいでしょう。例えば、商品が新カテゴリーの写真撮影用の三脚だとすれば、その商品を買う可能性の高い人として、望遠レンズを所有している人が考えられます。
望遠レンズは遠くにある被写体をとるためのレンズで、手ブレしないで撮影するためには三脚が必要だからです。自社の新商品お顧客数を考えるときに、何かベンチマークになるものはないか、と考えて見てください。
ただし初めは、どのように考えればいいのか迷うこともあるかもしれません。そこで最初は、こんな人たちだったら買うかも、こんな会社だったら買うかもというように、買うかもとご自身が思える顧客を想定してみることをおすすめします。
最初は迷うかもしれませんが、テストをすればするほど経験値が積み重なり、だんだんと実態に近い顧客数を想定できるようになってきます。当然顧客ターゲット数が多いほど、売上は大きくなります。
③ぜひ買いたい率
是非買いたい率とは、お客様が欲しいと思える商品になっているかどうかを確認するアンケート調査で、商品の価格を提示した上で、是非買いたいと考えた人の率のことです。
例えば300人にアンケートに答えてもらい、そのうち、90人が是非買いたいという購入意向を示した場合、是非買いたい率は90人÷300人=30%となります。
このようにアンケートの結果、30%という数字が出たら、計算式の③是非買いたい率のところに0.3を入れます。
これまでの経験でいえば、新カテゴリーの商品の場合は、是非かいたい率が30%以上あれば、その商品は高い確率で大ヒットします。私の経験では、日本人と韓国人の場合、是非買いたいと考えた人の9割以上の人が買ってくれます。
そのこともあり、渡井は、社内的な事情がない限り、クライアントには、是非かいたい率は少なくとも20%は必要だと行っています。できれば30%以上の場合に新商品を発売するようにしてください。
このように是非買いたい率をいかに上げるかが、商品の初回購入の成功の鍵を握っています。商品が魅力的でお客様に是非買いたいと思ってもらえる新商品を開発しましょう。
④購入回数/年
購入回数/年とは、1年間にお客様が商品を購入してくれる回数です。
例えば、商品がシャンプーであれば、1人のお客様が平均して1年間に6回買ってくれたら、購入回数/年は6回となります。しかし、1年に何回購入してもらえるかを考える前に、そもそも商品がリピート商品になっているかを考える必要があります。
なぜならお客様は商品を買ったあと、買って良かったと思わない限り、再度購入しないからです。再購入が起きる商品であることを前提とした100億ロケット・マケーティングでは、商品が再購入されるものになっているかを調べるために、商品を実際にお客様に使っていただき、その満足度を調べるテストを行います。(※商品パフォーマンスに関するテストの解説は4章)
これまでの経験からテストで「是非買いたい&買ってみたい率」が70%以上あれば、再購入が起きることがわかっています。
計算式の④購入回数/年には再購入が起きる商品であることを前提にして、定数でなく、変数を入れて計算します。
たとえば、購入回数/年が1回の場合、2回の場合、3回の場合というようにシミュレーションしていきます。ここで、図8の売上予測シミュレーション表をご覧ください。
表の中の購入回数/年の縦の列を上から下へみていくと、1回、2回、3回というように変数が入っています。つまり、1回の場合はいくら、2回の場合はいくら、3回の場合はいくらというふうに売上の変化をみていくのです。当然、回数が多いほど、予測の売上は大きくなりますが、逆に実際の売上と乖離する確率が高くなります。より安全な推計のためには、より確信のもてる回数のシミュレーションを採用することが多いです。
以上説明した①価格から④購入回数/年までは、すべて商品の力を数値化したものです。次から説明する⑤と⑥は、販売(広告)の力を数値化したものです。
⑤知られる率
知られる率は専門用語で、知名率や認知率になります。その意味は、顧客ターゲット数の何%の人に商品を告知できたかを示すものです。ただし、この場合の告知とは、商品名だけでは不十分です。その商品が何であるか、どう良いかまで認識してもらう必要があります。
知られる率をフォーミュラーVの計算式に入れる際は変数で入れます。
例えば、広告によって、買う可能性のある顧客の半分に「その商品が何であるか、どう良いか」を告知できたと仮定した場合、「知られる率」は50%となり、計算式には、0.5を入れます。
知られる率は実際に広告をやってみないとわからない数字なので、あくまでも仮定の数字として変数を入れますが、実は変数を入れて売上のシミュレーションをすることは、経営上とても重要な意味を持っています。
かりに商品を発売して1年目に売上20億円、2年目に30億円の売上が欲しいと思えば、変数でシミュレーションしてみて、知られる率が何%であればその売上を達成できるか、がわかります。
図8の売上予測シミュレーション表のケース2の横方向の行を見てください。知られる率が30%で、売上は4億2000万円となっています。同じケース2で。もし知られる率が2倍の60%であれば売上は2倍の8億4000万円となります。
つまり知られる率を60%にすれば、売上が8億4000万円となる可能性があるとわかれば、広告費を3億円使って、知られる率を60%にもっていこうという判断ができる分けです。
特に5年で100億円を目指す場合は、売上の30%から60%という大金を広告に投資しますので、このシミュレーション表で知られる率をどのぐらいあげれば、どのぐらいの売上を得られる可能性があるかがわかるだけで、広告投資に対する経営者の判断とプレッシャーが違ってくるでしょう。
⑥表現コンセプト伝わり率
表現コンセプトつたわり率とは、広告をしたときに、商品の表現コンセプトがどれだけ顧客に伝わったかを表す割合です。
どんなに商品が魅力的で商品パフォーマンスも良くて広告で、その部分がなんであるか、どう良いかがお客様に伝わらなければいくら広告投資をしても100億円は達成できません。
⑥の項目に定数ではなく変数を入れます。入れる変数は0.1から1までとなります。
フォーミュラーVの計算式はすべて掛け算です。実際に計算していただくとわかりますが、0.1をかけるのと、1をかけるのでは売上が10倍違ってきます。
また100億ロケット・マーケティングでは、社内で商品の表現コンセプトテスト(5章で解説)を行いますが、社内でテストを行う目的は、実際の表現コンセプト伝わり率を1、0に近づけるためです。
表現コンセプトテストの結果からほとんど伝わっていないと思う場合は10%の0.1を、全て理解されていると思う場合は、100%の1.0というように、担当者が判断して10段会で評価します。テストを重ねながら、広告出航までの間にできるだけその商品がなんであるか、どう良いかがお客様に伝わるものを製作しましょう。
以上、⑤⑥は販売(広告)の力を数値化したものです。
知られる率は、広告の量に関係し、表現コンセプトつたわり率は広告の質に関係します。いうまでもなく、広告の質は、広告量の最大化をするために高めることが重要です。
フォーミュラーVでわかる重要なこと
以上、フォーミュラーVの計算式に入る、6つの項目について説明しました。すでにお気づきになった方もいると思いますが、フォーミュラーVの計算式に入る項目はすべて、目標売上を達成するための要因です。
復讐すると、計算式に入る項目は次の6つです。
そしてフォーミュラーVの計算式は掛け算で、6つの項目を掛け合わせて売上(予測)を出します。注目して欲しいのは、売上に影響を与えるという意味で、6つの項目は同等の価値を持っているということです。
つまりどの項目でも数値が2倍になれば売上は2倍に、どの項目でも数値が3倍になれば売上が3倍になるということです。
この6つの質問の重要性が理解できると、経営者は売上を最大化するために具体的に何をすればいいかがわかってくるはずです。それがわかれば、実行しやすいものから着手すればいいでしょう。
同時に得られるであろう売上額が想定できるので、その売上を得るために必要な投資金額も判断できるようになります。
このようにフォーミュラーVは単に売上を予測するだけの式ではなく、売上をシミュレーションすることで、売上を最大化するためのマーケティング施策を考える資料となり、投資金額も判断できるようになるのです。
ここが経営上とても重要なことです。
フォーミュラーVの使い方
100億円ロケット・マーケティングの5年で100億円を超えるシミュレーションでは、5年間に3つの商品を出すことを想定しています。かりにその3つの商品がフォーミュラーVの計算によって、1年目の予測がそれぞれ30億円となれば、楽々100億円を達成することができるでしょうか。
30億円かける3で90億円となり、100億には10奥たりませんが、新カテゴリー商品はロングセラーになる確率が高いので、2年目、3年目も売上を積み上げてくれるので余裕を持って達成できるでしょう。
中には、5年間、毎年新商品を出して、5つの商品で100億円を目指したいという方がおられるかもしれませんが、新カテゴリーで商品コンセプトと商品パフォーマンスの力が共に強い商品を作るには時間がかかります。3つの商品ぐらいでフォーミュラーVの結果が30億円を超える商品づくりに専念されることをおすすめします。
またもしも奇跡的に1つの商品で1年目の売上(予測)が100億円という結果が出たならば、大喜びする前に、もう一度計算式に入れた数値が現実とかけ離れていると、当然、売上(予測)は現実の売上と乖離します。
例えば知られる率に、0.5を入れて計算した場合の売上とは、発売1年で買う可能性のある顧客の50%の人に「商品がなんであるか、どう良いか」を知ってもらった場合の売上ですから、1年目に知られる率50%となるような広告を売って、顧客の50%の人に告知できなければ、現実の売上と大きく乖離することになります。
ですので、発売1年目で、知られる率50%、つまりターゲットとなる顧客の半分の人に告知できるような広告ができないのであれば、知られる率の項目は自社で可能な数字を入れるようにしましょう。
ちなみに知られる率については、発売後にアンケート調査を行って、ターゲットとなる顧客に対して「知られる率」を把握することは可能です。
またフォーミュラーVの6つの項目に現実にそった数字を入れたとしても、ビジネスは往々にして想定外のことが起きる場合があります。例えば2008年のリーマンショックや2011年の東日本大震災など、誰も予想できなかったことが起きて、急激に消費が落ち込むことがあります。
フォーミュラーVはそういったリスクまでを考慮した計算式ではありません。ですから、もっと現実にそった予測をしたい場合は、フォーミュラーVで得た売上予測にさらにリスクを考慮して0.7を掛け、それを最終的な売上(予測)とすることもできます。
0.7という数字は、私のこれまでの経験値ですが、リスクや不運ということまで考慮する場合は、最後に0.7を描けるといいでしょう。
いずれにしても、フォーミュラーVを使った売上(予測)の理想は、予測した売上よりも実際の売上の方が少し高かったというものです。そうなれば予測した本人も嬉しいし、関係者も喜び、さらに仕事に燃えることでしょう。
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