アンケート調査の目的
1勝でもお話したように、商品コンセプトは、商品力を決定づける要因の1つで、買う前に期待を与え、欲しいと思わせる地下、初回購入を引き起こす力でした。
どんなに美味しいお菓子であっても、食べる前に食べたくなるような商品コンセプトでなかったら売れないように、初回購入の多くは商品コンセプトの力によっています。
お客様は買う前と買った後の二度評価するという言葉を思い出してください。
お客様は買う前に商品コンセプトを評価して買うか買わないかを決めています。100億ロケット・マーケティングで重要なのは、本当に売れる商品なのかを発売前に知ることです。
ではどうすれば本当に売れる商品なのかを発売前に知ることができるのでしょうか。その方法とは、商品を買う可能性のある人に答えてもらう梅沢式アンケート調査です。
梅沢式アンケートは、1つ一つの質問に意味があり、回答を分析することによって、商品をさらに売れるものに改良できる点が大きな特徴です。
なぜ私が独自のアンケートを開発したかと言えば、売上予測の計算式を開発した理由と同じで、自分で作った商品を大ヒットさせたかったからです。
よって、アンケートのノウハウも、私の消費社研究50年の経験から導き出したもので、このアンケートのやり方で間違いないと確信を持っています。
梅沢式アンケートによって、商品に関する様々なことがわかりますが、得られる重要な情報としては次の3つです。
①広告投資の意思決定情報
②マーケティング(営業)のターゲティング属性情報
③商品コンセプト改良情報
1の広告投資の意思決定情報とは、アンケートによって、是非買いたい率の数値がわかりますので、売上予測計算式フォーミュラーVにより未来の売上を最大化するために必要な広告投資額が予め試算できます。
また前にも述べましたが、私の経験では、新カテゴリーの商品の場合、ぜひ買いたい率が30%以上あれば、その商品は高い確率で大ヒットします。高い「ぜひかいたい率」が得られれば、発売前に成功の確信を持つことができるでしょう。
反対に、企業によってばらつきがあるものの、是非買いたい率20%未満の場合は、商品を発売しないで、商品コンセプトを改良するように指導しています。
2のマーケティング(営業)のターゲティング属性情報は、アンケートによって訴求すべきターゲットと除外すべきターゲットがわかり、フォーミュラーVの計算式に入れる顧客ターゲット数を明確にすることができます。
3の商品コンセプト改良情報は、アンケートの結果を分析することによって、商品の魅力を最大化するための商品コンセプトの改良のヒントが得られます。具体的な改良のやり方は、本性の分析手順のところでお話しますが、改良した商品コンセプトで、もう一度アンケート調査を行えば、改良の成果を明らかにすることができます。ちなみに改良することによって是非買いたい率が大きく伸びるケースは多々あります。
本章では、梅沢式アンケート調査の実施の仕方、作成の仕方、分析の仕方に分けて、それぞれ説明します。
ではアンケートの実施手順から説明しましょう。
【実施手順1】実施方法を決める
①専門の市場調査会社に依頼する
②自社で調査をする
1の専門の市場調査会社に依頼する場合は、現在インターネットを使ったアンケート調査が可能です。
質問の数が20問、必要な回答者数1000で依頼すると20万円ほどの費用で実施できます。インターネットを使ったアンケート調査が登場するまでは、数百万円以上のコストがかかりましたので、中小企業が量的な市場調査を行うことは、それまではほとんど不可能でした。
おそらく世界で初めて市場調査部を車内に作ったのは、世界最大の消費財メーカーと言われるP&Gです。市場調査部の設立が1925年、日本でいうと大正14年です。そんな早い時期からP&Gは女性調査員を採用して、商品を持参して個別訪問し、聞き取り調査をしていました。
インターネットが普及するまでは、このような人海戦術で調査員が1軒1軒訪問して聞き取り調査をするというのが一般的な調査スタイルでした。ですから当然、かかる費用も大きかったのです。それがインターネットの普及により、低価格で市場調査ができる時代となりました。検索エンジンで市場調査会社という言葉を入力すればたくさんの会社がヒットします。中小企業の場合、大企業のクライアントを多く持つ大手市場調査会社より、中小の市場調査会社の方が丁寧に対応してくれる可能性が高いでしょう。
また、専門の市場調査会社の1つとして、私が設立した商品企画エンジンが主宰する100億突破MIP開発システムZadanを利用していただく方法があります。
Zadanでは、商品開発に関心が高い消費者会員6000人を組織化しています。6000人の会員のほとんどが女性ですが、女性対象の商品であれば、会員の中から商品の条件にあうモニターを選別して、梅沢式のウェブアンケート調査を実施できます。詳細は巻末の著者紹介のページをご覧ください。
次に2の自社で調査をする場合ですが、ダイレクトマーケティングモデルの場合、既存のお客様の顧客名簿を管理し、直接、お客様にメールやお手紙を送ることができるはずです。BtoC。、BtoBいずれの場合でも、自社の顧客の中で、アンケートに答えてくれるモニターを募集し、グーグルフォームやサーベイモンキーなどの無料ソフトを使ってアンケートを作成し、そのリンクをめんきしたメールをモニターに一斉送信すると、自動的に回答が届き、集計も自動でやってくれます。
回答してくれたモニターに対して、御礼として抽選で自社商品をプレゼントする会社が多いですが、その分のコストだけで済みます。
【実施手順2】100サンプルを集める
サンプル数とは、アンケートを行って、質問に答えてくれた回答者数のことです。例えば、120人の人にアンケート調査を行い、100人から回答が得られたら、サンプルは100となります。120人全員が回答してくれるとは限らないので、何人に調査したかというよりも得られた回答数すなわちサンプル数の方が大事です。
初めてアンケート調査を行う場合は、統計学的に有意かどうかは後から考えることにして、まずは100サンプルを集めることを目標にしましょう。
なぜ100サンプルかというと、アンケート初心者でも躊躇せずに実践できる最小単位が100だからです。%で表すことができる基本となる数である100サンプルをまず集めましょう。
実戦で一番難しいのは、やったことがないことをやる「はじめの一歩」です。とくに最初はこれであっているだろうか?と心配になることが多く、社員は実践を躊躇して先に進めないことが多いものです。
アンケート集めは、二度、三度と実践するほどに、ああ、こんなふうにアンケートをとった方がよかったななど、アンケートのコツがわかってきますので、最初は統計学的に正しいかどうかよりもまずは、アンケートのコツがわかってきますので、最初は統計学的に正しいかどうかよりもまずはアンケートをとることを重視してサンプルを集めましょう。
ちなみにテレビの視聴率は統計学的に忠実にサンプル調査を行っていますが、例えば1900万世帯もある関東地区で必要とさレルサンプル数でさえ、たったの900です。
900サンプルで信頼度は95%として実際に視聴率として公表されます。
このように小さなサンプル数でも統計学的には意味があります。まずは100サンプルを集めることからはじめてください。
【実施手順3】アンケート調査の実施
専門の市場調査会社に依頼する場合は、調査する商品コンセプトと商品を買う可能性のある人の特性について、依頼する市場調査会社にはじめにしっかりと説明してください。最終的なサンプル数については、調査会社と相談して決めることになりますが、集めるサンプル数が多いほど費用も高くなるので、むやみにサンプル数を増やすわけには行きません。
絶対に避けて欲しいことは、アンケートの内容を調査会社に丸投げして作ってもらうことです。
この後梅沢式のアンケートの作り方を説明しますが、アンケートは必ず自社でつくり、それを調査会社に渡して、その内容をウェブ配信するようにお願いしてください。
梅沢式のアンケートは、質問と分析がリンクしており、商品コンセプトを改良できるようになっているので、調査会社に丸投げすると、分析と改良が不明になるうえに、費用も加算されて高くなるので注意が必要です。
時間的な目安としては初回の打ち合わせから1ヶ月ぐらいで実施可能です。調査結果は、配信した数日後にはデータで納品されます。
一方自社で調査を行う場合は、費用がほとんどかからないので、初めて調査する方は、100サンプルを目標に実施してください。
一番費用をかけずにすむ方法は、自社が持っている顧客リストの中から商品の条件にあう顧客を選別して、その顧客宛に一斉送信メールを送り、メールに記載したリンクからウェブ上のアンケートに答えてもらう方法です。
アンケートに答えていただいた御礼ととして、「抽選により何名様に自社の●●●をプレゼントします」など、何らかのお礼は必要でしょう。インセンティブがあったほうが、モニターを集めやすいです。
先に紹介したグーグルフォームやサーベイモンキーなどの無料のアンケート作成・集計ツールを使えば、PCが得意な人ならば1時間ほどでアカウントを作ってアンケートもつくることができます。
また自社が保有する顧客リストの中に、商品の条件にあう顧客がいない場合は、ネット上にモニターを募集する広告を出して、条件にあう人を選別することもできます。グーグルフォームやサーベイモンキーのソフトを使った調査では、配信直後から回答メールがリアルタイムで届き、24時間いつでも最新の集計結果を見ることができます。
【実施手順4】サンプルの精度を高める
さきほどは、初めての調査の場合を想定して、必要なサンプル数は100といいとお伝えしました。しかし厳密に分析するためには、統計学的に有意なサンプル数であることが望ましいのは間違いありません。2回目以降については、次に上げる条件を考慮して、サンプル数を決めてください。
サンプル条件:調査属性ごとに最低70サンプルとること
属性とは、年齢、性別、居住地、家族構成、職業など、調査対象者の特製のことです。例えば、アンケートで調査対象者の属性を調べる質問を入れる場合があります。属性の質問の作り方は、このあと詳しく説明しますが、例えば発売する商品が、新カテゴリーのダイエット食品Qとしましょう。商品Qを発売するQ支払い完了です。どういう人が商品Qに対して強いニーズを持っているかを調べて訴求すべきターゲットを見定めたいとします。
その場合、アンケートの質問で、調査対象者の性別をお聞きし、さらに年代をお聞きして、商品Q対して強いニーズをもつ人の属性がどれかを調べます。
性別については、男性、女性のどちらかを選んで回答してもらい、年代については、20歳から39歳、40歳から59際のどちらかを選択して回答してもらった場合、属性の数は、次の4つとなります。
①男性②女性③20歳から39歳④40歳から59歳
サンプル条件は、調査属性ごとに最低70サンプルをとることでした。これを計算式で表すと、属性の数×70サンプルとなります。
商品Qの場合、調べたい属性の数は4つでした。間違いやすいのは、属性が4つだからといって、右の計算式にあてはめて、4×70=280で280サンプル集めればいいと思ってしまうことです。
少し考えればわかることですが、280サンプルを集めたとして、それを4つの属性に仕訳したときに、4つともきれいに70サンプルずつに仕訳される確率は限りなく0に近い。
つまり属性ごとに70サンプルが最低必要ということなので、各属性で70サンプル以上をあつめなければならないことになります。
では調べる属性が4つ場合、全体のサンプル数はいくつあればいいのかといえば、それは、調査するモニターがどのような人たちの集まりかによって違ってきます。例えば、モニターの9割が女性90%で占められる場合、男性10%のサンプルを最低70集めるには全体のサンプル数は少なくとも700以上必要になります。
年齢についても、例えばモニターの20%が20から39歳の場合は、20歳から39歳のサンプルを最低70集めるには、全体のサンプル数は少なくとも350以上必要になるといった具合にです。
ですから属性の質問を入れる場合は、モニターの実態をみて、全体として必要なサンプル数を決めるか、モニターの実態がよくわからない場合は、1属性70サンプル以上集めるために、予算の範囲内で最大数のサンプルを取るということになります。
ちなみに1足性につき最低必要なサンプル数は70というのは、私が大学時代に当時心理統計学の権威で荒れた古賀先生より学び、その後、自分で開発した商品のアンケート調査をするようになって、その妥当性を確信したものです。
ところで市場調査会社に依頼する場合、調査したい属性のモニターが少なかったり、属性が明確になっていない場合も多くあります。
一般に市場調査会社にアンケート調査を依頼すると100サンプルでは少なすぎます。少なくとも1000サンプルは必要ですと言われることがよくありますが、使用調査会社に登録しているモニターは、市場調査会社からポイントなどの何らかの報酬をもらっている人たちなので、その時点で純粋な意味での調査対象者ともいえません。
このこともあって、市場調査会社に依頼する場合は、1000サンプル以上は必要となることも多いでしょう。予算に限度がある場合は、予算の範囲内で最大のサンプル数を集めることをおすすめします。
ではアンケートの作り方の説明に進みましょう。
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