完了【伝説の通販バイブル】第1章 10億円を稼ぐ通販ビジネスはここが違う 第3ステップ 「決済・システム」とは

決済・システムの効率化

これは全体設計図のマーケティングβの6ステップ法の中で三番目の優先事項として取り組まないといけないステップです。このステップは通販ビジネスをこれから始める方には少しイメージしにくいかもしれませんが、一言でいうと、お客様が商品を購入する際の、決済と商品出荷とのシステム連携となります。

通販会社は広告投資をするために、費用の無駄や効率化を無視することはできません。

売上を100%の構成比率に、あらかじめシステム費5%を想定して組み込んでください。決済・システムの戦略的思考は効率化であり、役割としては利便性の追求になります。

地味なステップですが、経営に対するインパクトは大きいです。システムはパッケージソフトを利用する場合でも、ランニングコストが発生しますし、決済に関しても手数料が発生します。

つまり、継続的にお金がかかるというわけです。だからこそ、効率化がとても重要な課題になるわけです。図表1−4のように、カート機能があるシステムは、新規導入の際、非常に便利なツールだといえます。

図表1−4 全体設計&売上最大化のポイント

 

CRMの定義と管理

CRM(顧客管理システム)とは、顧客の長期価値を最適化するための、顧客を選択・管理する経営戦略であると言われています。多くの企業でCRMは顧客データを管理し、分析するシステムである」と考えられていますが、本来CRMとはシステムではなく、顧客関係を構築し、顧客価値を創造する戦略が正しい解釈なのです。

戦略の次に、顧客との関係構築には何が必要か?というプロセスを考える人たちが必要になり、最終的にプロセスの自動化やデータ分析と行った情報技術(CRMアプリケーション)を利用することになります。一般的には、顧客管理システムとしてCRMが定義されています。

図表1−5のように年商5億円を超えてくるとデータのトランザクション(取引履歴)が増加し、処理能力が極端に落ちるため、専用のDBで管理するように心がける必要があります。しかし、システム移行には1年近くかかるため、あらかじめスケジュールを計画しておく必要があります。

総合通販のように、売上DB、顧客DB、商品DB、債権DB、顧客履歴DB、販促DBなど、DBを分けて管理する必要はありませんが、KEYでマッチングさせる概念を持つ必要があります。KEYとは、会員IDのような個人を識別するものです。

 

顧客分析

特に重要なシステム管理は、顧客の分析になります。

通販の分析は、マーケティング担当や販促企画担当者が次のような指標で計測します。図表1−6のように、X軸とY軸の2軸のマトリクスでF値とR値を座標とすることで顧客の分布が見えてきます。

R:リーシェンシー:最終購買日

F:フリークエンシー:購買回数

M:マネタリー:累計購買金額

CPO:媒体コスト÷売上人数

CPR:媒体コスト÷資料請求数

大手通販会社で経営指数と言われている分析項目は、他にもあるので紹介します。

・引き上げ率:資料請求者が購入者になった比率。売上人数÷資料請求者数

・定期率:購入者のうち何人が定期契約のコースに入ったかを測る分析。定期コース制約人数÷売上人数

・定期離脱率:定期コースを解約した顧客の割合。定期コース解約人数÷定期コース契約人数

・顧客単価:1回での顧客売上金額。アップセル(購入商品よりも上級な商品の追加購入)、クロスセル(別商品の購入促進)を目指す。

・媒体別ペイバック分析:投資(広告・販促)がいつごろ回収できるかを測る

・入口媒体分析:通販の分析で特徴的なのが、入口媒体分析、それは、入り口によってCPO、顧客単価、定期率などが違ってくるため

・年間LTV分析:顧客単価、継続率(定期率・定期離脱率)から顧客の生涯価値を測る。媒体ごとと、入口媒体の大分類ごとに予測することが一般的。また過去の実数で計算し(顧客実数÷累計売上)、過去1年の年間LTVを出せるようにする。

・購入商品分析:購入した商品別に年間LTV・定期率、定期離脱率、引き上げ率の算出、RFM分析(Recency=最新購入日、Frequency=購買頻度・回数、Monetary =購入金額、男女比・年齢比の分析を行う。

・媒体別レスポンス分析:受注数(または反応数)÷媒体発行部数」でレスポンスを%で表す。DMやカタログ別にレスポンスを出す(媒体別の男女比率・年齢比率)

・カタログABC分析:カタログ掲載商品を単純に売上順に並べ替える。通販では上位30%の商品で売上の50%、また50%の商品で90%の売上にもなるという経験則がある。また掲載商品をリピートさせる場合、前回の7割は売れる(季節商品は除く)

・価格帯分析:掲載商品を価格帯別に分けて、その価格帯の売上シェアを調べる。そのシェアと価格帯のシェアを比べ、強い価格帯、弱い価格帯を見つける

・商品群分析:全商品の

 

 

 

決済方法と与信管理

次に、決済について言及します。私が一部上場企業に勤務していたとき、支払い方法のメインは後払いでした。当時は通販は怪しいというイメージが、多くのお客様の深層心理にありました。そのため、総合通販と呼ばれる通販会社は、業界のイメージアップを図る啓蒙活動の一環としての目的もあり、後払いを積極的に導入したのです。商品を先にお客様にお届けすることで、業界として安全・安心をアピールすることに取り組みました。

私は、債権回収という部署に長くいましたが、貸倒処理・与信審査の仕方は当時は通販業界では実施していない(他業界では導入されていた)やり方でした。

貸倒処理は、償却後の少額債権の譲渡を運用し、営業外収益として会社に利益をもたらすことも実施しました。

先述の通り、後払いが支払い方法のメインだったため、お客様の与信審査を行う業務も裏方ではありました。具体的には、クレジット会社の共同出資により説m率された信用情報機関CICの情報を参考にしながら、審査基準を策定し、与信の限度額を設定していたのです。

本書では与信審査の手法などについては触れませんが、自社内で与信を行うことで外部にアウトソースするよりコストが安くなるというレベルとは、売上100億円クラスの通販の場合だと思ってください。

 

カード決済の利便性

自社で回収するリスクがない決済方法の主流は、やはりカード決済になります。残念ながらデビットカードや代引きがメインの決済方法ではありません。まずは、カード決済の検討をしてほしいと思います。

カード決済には、債権売却手数料というカード会社へ支払う決済費用や、オーソリ(与信限度額の測定)にかかる費用が発生しますが、お客様稀哲ひとりの債権を消し込む必要がないカード決済は魅力が高いです。

おーそりとは、商品購入の際に、お客様のクレジットカード与信限度枠内に購入希望金額分の空きがあるかどうかを調べ、空きがある場合にその金額分を決済用に確保する作業のことで、システム的に行われます。

カード決済を導入する場合は、個人情報保護の観点から、インターネットか電話での決済が主流になります。インターネットからの決済について、少し解説しましょう。

インターネットの決済フォームは、お客様の離脱が最も多いところです。エラーが頻発したり、項目数が多くてストレスを感じたりすると、申し込み完了前に放棄してしまいます。これを途中離脱と言います。

入力の手間を減らし、より短時間で正確に入力完了できるようにユーザーに合わせた入力フォームの最適化EFOが重要になります。EFOのサービスは主にこの途中離脱を最小限に抑えるためのもので、サイトでの成約率を向上させる注目の施策です。

例えば図表1−7のような機能です。

・漢字入力した瞬間に、ふりがなが自動で入力される

・入力ミスはその場で知らせてくれる

・入力漏れのまま確認ボタンを押すと、入力漏れの項目まで自動変遷する

・郵便番号を入力すると、住所が自動で入力され得る

またEFOの同線を確保すると、確認画面でアップセル(購入商品よりも上級な商品の追加購入)も可能になります。

 

まとめ

最後にまとめとして、決済・システムで実施しなければならない25項目を上げますので実践してみてください。

①JCBカードはカード保有者の女性比率が高いので、女性用商品を扱う際は必須とし、最初に表記する。

②カードブランドは、JCB、VISA、Masterの国際ブランド順で表記する。コンビニ後払いは、セブンーイレブン、ローソン、ファミリーマートの規模の大きい順で記載する。安心・信頼感を与え、通販事業には欠かすことのできない。

③後払い、カード、代引きの決済方法を同時にスタートさせると、7:2:1の割合になる。

4.支払い方法の表記順は、後払い、カード、代引きの順番で記載する

5.カード、代引きの決済方法しかない場合は、後払いを導入することで売上アップが10%前後見込める。月商3,000万円になれば、後払いを導入すること。

6.貸倒率は、0.3%以下なので、後払いでも恐れない。最初は、債権回収を担保してくれる代行会社と付き合うこと(サービサー会社など)。

7.督促をする場合は、ハガキの3ステップ+電話確認で実施する

8.3回目に電話を入れると、効果はさらに上がる(回収効果)

9.第一次産業が主体の地域は、不良残になるリスクが高い(後払い導入の場合)※大手通信会社で運用していたときの実績から。

10.首都圏のマンスリーマンションは不良残になるリスクが高い(後払い導入の場合)

<補説>

全国のマンションなどの空き部屋に窃盗グループがインターネット通販で不正購入した商品を届けさせる手口が横行している(転売目的として)

11.決済画面の横に、使い方を説明する動画を掲載すると、買い物かごへのロス率が改善する

12.効果・効能が言いにくい商品説明は、明朝体で説明する

13.通販用のシステム(パソコン、プリンタ)を用意する

14.顧客DBをメインとし、発送伝票の印刷、入金管理、DMラベル出力はデータベースから抜き出し(エクスポート)、別ファイルで作業する

15.顧客データなどのデータ入力に関する手順書を作成する

16.顧客DBのバックアップを定期的に実施する

17.速報・日計・月計・四半期計などの期間別、媒体別、日付別、商品別に売上を集計する。

18.媒体別のCPOをデータ化する(KPIに設定する)。KPIとは、目標がどれだけ達成されたかを計る定量的な指標のこと。

19.頒布を導入する場合、定期引き落としの決済システムの導入が必要になる

20.従業員と、情報漏洩についての契約書を締結する。

21.データの漏洩が発覚した場合の罰則規定を周知徹底させる。

22.個人情報取扱規定を設けること。

23.自動化できない運用箇所は、必ずフローを残すこと。運用のやり方が更新されたなら、更新日付も記録する。

24.分析はデータありきではなく、あたりをつけて、アクションプランに直結できるように分析する

25.お客様の声は録音して文字化を行い、テキストマイニングという手法を用いて、お客様の声を分析する。テキストマイニングとは、文字列を対象としたデータマイニングのこと。通常の文章からなるデータを単語や文節で区切り、そレラの出現の頻度や相関、出現傾向、時系列などを解説することで有用な情報を取り出す。テキストデータの分析方法。

顧客情報の大量流出を起こしたベネッセホールディングスは2015年1月に個人情報の取扱についてプレスリリースを出しています。要約すると次の3点になります。

①セキュリティゾーンをさらに細分化し、お客様情報を扱うエリアのセキュリティレベルを大幅に強化した

②社外有識者を集めた「情報セキュリティ監視委員会」による定期的な監視を強化する

③厳格な規定のもとで、お客様情報の「管理部門」「利用部門」および「運用部門」を分離し、相互牽制を働かせることにより安全性を高める

ベネッセホールディングス事例から学ぶべき点は対応の代償は高く着くということです。そうならないためにも、先述した20から22版の項目は重要です。

私が一部上場企業に勤めていた時は、個人情報取扱主任の資格やクレジット債権管理士を取らないと実務ができない状況でした。ぜひ個人情報の取扱については、社長をはじめ神経を尖らせてください。

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