<事例1>単品リピート通販からわかることー年間LTV(顧客生涯価値)の最大化に着眼する
定期購入以外の単品リピート通販
読者の皆さんは、単品リピート通販は、定期購入でリピートさせるやり方という固定観念をお持ちかもしれませんが、実際はそれだけではありません。ここで定期購入を導入せずに年間LTVの最大化に取り組んでいるA社の事例をご紹介します。
A社は、年商約4,500万円の化粧品会社。広告費は0円で、SEO(検索エンジン最適化)の自然流入のみで売上が構成されています。原価率10%なので、超高利益体質の会社です。しかも全体設計図がとてもユニークです。
経営者は女性で、ご自身も通販が大好きだったため、定期購入を組み入れることに抵抗感があったそうです。理由は自分のペースで購入できず、会社都合の嫌な束縛感を感じるからだそうです。よって定期購入の導入は考えになかったようです。
しかし、通販ビジネスを成功させるためには、定期購入を組み込まない代わりに、年間で複数回購入してもらう仕掛けを考える必要がありました。
ではどのように設計したのでしょうか。その答えはキャンペーンです。
A社の場合、SEOによるウェブサイトへの自然流入から、無料サンプル請求ページに遷移します。この後普通は、定期購入や本品購入へとオファーする流れになるのですが、A社のモデルは、無料サンプルのあとに本品を半額で購入できるオファーを入れています。無料サンプルから本品半額購入へ流れる比率は50%もあります。
さらにこの後、キャンペーンを年4回組んでいるため、結果的には年間で購入する形になっているのです。キャンペーンでは、価格は据え置きで商品本数が一本プラスされます。以前購入した商品がちょうどなくなるタイミングでキャンペーンを行うので、押し付け感がなく、自然に複数回購入する仕掛けとなっているのです。
キャンペーンによって、お客様への育成プログラムが設計されているともいえるでしょう。
リピート購入=定期購入という固定観念にとらわれていては、キャンペーンという発想には辿り着きません。通販初心者の会社が年間LTVの最大化に取り組むには、やずやのような大手の単品リピート通販会社が実施しているメディアを使って1年以上の長期LTVを目指すのではなく、1年間で投資を回収できるかどうかを把握することです。
そのためには、定期購入である必要はないのです。
定期購入への誘引
事例でご紹介したA社以外の単品リピート通販ビジネスでは、有料モニター会員→本品への引き上げ→定期購入という流れが一般的です。定期購入というリピート売上があることで、広告投資の回収がより早くなるのです。
ここで面白いのはサンプルから本品へという2ステップ方式のマーケティングの場合、最初の募集時にネーミングをモニター会員として明確にすることで成約率が劇的に変わることです。
私が今まで行ってきたテストでは、「サンプル募集<トライアルセット<お試し価格<モニター会員」という順番で成約率が上がります。また本品への引き上げ率については、有料の価格帯は1,000円以下が良く、さらに500円ぐらいのモニター会員にすると一気にアップします。本品の引き上げ率は20〜50%が合格点となります。
以上のように無料からの2ステップ方式や、本品を半額にする2ステップ方式などがありますが、商材やターゲット層の属性に応じてテストし、どちらを選択するのかを判断することをお勧めします。
一般的には、2ステップ方式の成功確率が高いといわれていますが、私が以前に在籍した男性化粧品会社ではシングルステップ方式でした。つまり、いきなり本品販売からスタートしていました。
定期購入の場合、商品をキャンセルできないという心の壁を突破させてあげることはとても重要です。
単品リピート通販は、悩み系や不安を煽る(あえて過激な言い方をしています)私なりを設計をしているので、お客様にとって不安がつきものです。つまり、お客様相談窓口や解約できることが明示されていないと、解約率に跳ね返ってくるということです。
図表5−1費用対効果は、お客様がリピートすることで回収時期が短縮できる
図表5−2メディアとメッセージの組み合わせをつくる
図表5−3売上規模と広告費の関係
<事例2>フロントエンド商品、バックエンド商品の発想からわかることー年間LTVのクロスセル、アップセルの最大化に着眼
ビジネス全体のリピートを考える
うちの会社の商材やサービスはリピート商品じゃないから、定期購入は関係ないと思っている読者の皆さんも多いかもしれません。実はこれは短絡的思考で改める必要があります。
そこで、いつもこんなことをお話します。
単品系通販は、1個の商品のリピートさせるために定期購入という手段を取ります。では、総合通販と呼ばれているモデルはどのようにリピートしているのか知っていますか?とお聞きます。
すると90%以上の方は、売上規模が300億を突破しているので、モデリングの対象ではありません。
私はクライアントがこのような返答をした場合、通販は仕組みが大切であるのに、その通販業界の先導する総合通販の仕組みに関心がないということに疑問を持ちましょうと説きます。
通販ビジネスはアメリカから入ってきました。その中でも大手百貨店の通販が最初に広まったのです。ですから歴史から学ぶ意味でも、大手百貨店のフロントエンド商品とバックエンド商品について俯瞰的に考えて見ましょう。
そもそも、フロントエンド商品は、集客商品、バックエンド商品は利益商品という概念ですが、それ以外に複数回という概念も加味しなければなりせん。
大手百貨店のフロントエンド商品は食品です。ではバックエンド商品は何かというと、それはブランドアパレルです。ブランドアパレルには、最初から複数回、お客様に対してオファーできる機会が備わっています。それは四季(春夏秋冬)があるためです。つまり、年4回購入していただく機会を持っているのです。
考え方を可能性が拡大する
総合通販の年間LTVアップのチャンスは4回ある、単品系通販では年間LTVを4回以上あげる手段として定期購入があるのだという考えを持つだけで、色々な商品が通販に向くものになる可能性が拡大します。普通では想定できないバックエンド商品が備わった事例を、3つご紹介します。
1 美里花き流通グループー仏花をバックエンド商品に
この会社は花の通販を強化しています。花の先進国アメリカでは、もうすでに、花の販売における通販のウエートが大きくなってきています。
読者の皆さんには花屋にバックエンド商品があるという認識がないと思いますので、ここでヒントを提供しましょう。
花屋にとっては、店舗販売と通販で大きな差はありません。大切なことは、リアル店舗でも、通販でも同じように年間LTVに着目するということです。それをできたことが決め手となり、リピート商品が生まれました。
ではお客様の声から生まれたというバックエンド商品は、どんなリピート商品かというと仏花だったのです。1対2000〜3000円で販売しているので、年間では仏花だけでお客様一人あたり24000〜36000円になるのです。
それ以外には、母の日やクリスマスのプレゼントとしてチラシ通販を行うやり方で、LTVをあげるモデルになっています。地域の高齢者が買い物にいく不便を解消するため、軽トラックで花を販売しているのですが、そこにきたお客様にチラシを配布する原始的な販売モデルです。
またこの会社は、産地からリビングまでを実現する一貫した流通を行っております。名古屋に拠点を置き、海外の生産者からの輸入、国内生産、国内花市場への卸売り、一般消費者への小売までを行っているので、すべて一社で一気通貫できているわけです。
これにより生産力より鮮度の良い花を、リーズナブルにかつ安定的にお客様に提供できるシステムを構築しているため、他社が真似できない「鮮度保証」制度を導入しています。
輸入切花は生産国での品質レベルの向上はもちろんですが、日本に到着後も品質を保つために、空港近くにある空調冷蔵庫機能がある倉庫で、すぐに加工するなど鮮度管理を行い、加工作業中の商品の劣化を抑えているそうです。
その品質の良さが認められ、品川にある100年も続く花屋にも商品をおろしているそうです。
2 辻建設ーアップセル、クロスセル商品「リビング」用の漆喰や漆喰のアイテム道具を販売する
辻建材は、テレビ番組、劇的ビフォーアフターでも紹介された漆喰専門のDIY店ですが、その特徴は、とてもうまくユーザー心理を捉え、その欲求に応えていることです。
会社のコンセプトは、漆喰や珪藻土といった塗り壁剤をロハスウォールという屋号で製造販売しており、塗り壁を文化にを目指しています。失われつつある塗壁をDIYを通じて広めていく活動をしているのです。
DIYにトライした人たちは、自分でやってみるという本質的な喜びを知る顧客層になり、うまくいけばいくほど、どんどん家の他の部分に展開される方が多いようです。
しかしながらユーザーも最初は不安があるので、この会社ではその不安を取り除くフォローを行っています。フローは単にメールを送るだけではなく、動画で使い方を解説し、作業マニュアルやお客様の電話相談窓口も設けています。そのため、最初の第一歩からステップ・バイ・ステップで完成までたどり着ける設計になっているのです。
最初は、見えない場所のクローゼットから始めることを勧め、徐々に本丸のリビングへと階段を上がっていけるようにフォローするのです。
2013年4月には岡山県知事より、中小企業新事業活動促進法に基づく経営革新計画の承認を受けて事業を強化し。今では東京都内だけでも月4から5回、壁の塗り方教室やワークショップを開催しています。
つまりネットだけではなくリアルな場を通じてユーザーの欲求にマッチしたサービスを提供しているのです。
3。はっぴーすぽっと フロントエンドとバックエンドの会社をつくる
年間売上で億超えをしているこの会社のメイン事業は、沖縄県那覇市における占いです。顧客の大多数は観光目的できた人たちです。占いは女性が大好きなものですが、秘匿性が高いため、この会社では通常のコミュニケーション手法を使用していません。
一度、来店した人は、2回目以降はLINRを使って占い師とコミュニケーションをとるのです。相談では、顧客の仕事関係、人間(恋愛)関係、仕事の悩みなどを個別具体的に聞くので、メールよりもLINEのほうが親和性が高いです。
実は占いはフロントエンドの会社の事業という位置づけで、そのバックエンドでは、パワーストーンの販売を行う会社を用意しているのです。(正確には同一会社で機能を分離している)。
女性顧客は、自分へのご褒美をかねて、または悩みが解決した際の験を担いでパワーストーンを購入していくのです。そもそも、パワーストーンが宝石であるという認識がないため、最初は安いアイテムを購入しますが、最終的にはだんたん高いアイテムへとジャンプアップしていきます。
LINEでの深い絆で会話が成立する「占い」からパワーストーンの販売までを一貫性を持って提供するモデルになっています。
以上、顧客の「不快」「不満」の解消でサービスや商品が生まれた3社の事例をご紹介しましたが、通常ではバックエンド商品にならないものが、着眼点次第で変わるということをご理解いただけたと思います。
売れる2軸を確定させ他社が言っていない15の付加価値で補強する
通販ビジネスで大切なことは、通販で売れるか否かという視点が重要です。そのためには、2軸のコンセプトと2軸を補強する15の付加価値に分解して深堀する必要があります。
商品コンセプトを作成するときのコツは、次の3ステップについて明確に回答できる分解をする必要があります。実際の現場で使用している点数表を一緒に確認してみてください。
【25点満点】
ステップ1
商品に関する情報を洗い出す(5問×2点)
・商品コンセプトを最も伝えることができる特徴は何か?
・その商品をつくろうとした動機・背景は何か?
・その商品をつくるのにこだわった点は何か?
・その商品をつくるのに苦労したことは何か?
・調査でどんな風に褒められたり、驚かれたりしたのか?
ステップ2
焦点を当て特徴を絞りきる(6問×2点)
・今の流行りや嗜好の流れに合致している特徴はどれか?
・科学的にお墨付きがありそうな特徴は何か?
・えーなるほどという意外な驚きがありそうな特徴は何か?
・昔から言い伝えなど、すんなり理解できる特徴は何か?
・生活者に共感してもらえるような情報な何か?
・会社や経営者のイメージに合致している一貫性は何か?
ステップ3
伝える方法を考える(3問×1点)
・クチコミに乗りやすい方法か?
・生活者の目によく触れる方法か否か?
・生活者の共感を得る方法か否か?
コンセプトで売れるという意味は、商品単体の機能を説明しても売れないからです。商品の背景にあるバックボーンまでの浮き彫りにする必要があります。コンセプトとは、一言で言うと、どうすごいのか×15の付加価値に分解されます。
その15の付加価値は、さらに3つのカテゴリーに分解されます。
15の付加価値=お客様の声×特徴から数値を出す×ライバルを無力化するも掛け算が重要になります。
なお掛け算の構成要素を分解すると次のようになります。
①お客様の声→気づき、感動、不安、期待感、疑問、評価
②特徴から数値を出す→歴史、機能、限定、人気、実績、新規
③ライバルを無力化する→価格、解決、比較
他者との相対比較を超えたお客様の脳内SEO(お客様の頭の中で●●と言えば、▲▲だよね!というフレーズを勝手にイメージさせるように作り出すことを指します)として認識されるようにしなければいけません。
このようなコンセプトを見つけるために、私は、独自の15の付加価値シート図5−4を作ることをおすすめしています。
次の文章の●●部分を埋めるような特徴、強み、メリットを考えてください。
図表5−4 15の付加価値シート
この●●商品名には、●という特徴と●という強みがあります。そのため、あなたは●というメリットを得ることができます。そのため、あなたは●というメリットを得ることができます。
他社で言っていない15の付加価値を見つけます。この15の付加価値をまとめて置くことでPR戦略にも役に経ちます。理由は、広告とPRは全く違うからです。広告はお金さえ払えば掲載されますが、PRはニュース性がないとメディアには受け入れてもらえません。
よって、常に付加価値を磨き続けることがとても重要です。では付加価値の15項目を順番に解説します。アンファー社の薬用シャンプースカルプDを当時の事例に挙げて埋めて見ましょう。
①新規
日本初、業界初、世界初、など、パイオニアとして言えることはないかを考えることが大切です。スカルプDの場合、豆乳発酵液20%配合ということが新規性にあたります。
②歴史
創業●年や開発期間●年など、何か他社より長く実施していることはないかを見ていきます。スカルプDの場合、7回のリニューアルした、頭髪専門期間から誕生した商品、12年間の臨床実績などのキーワードがそれに該当します。
③機能性
商品の機能面や成分に特化した内容で、何か特徴的な要素はないかを確認していきます。スカルプDの場合、ノンシリコンだけない6つのフリーをお約束が挙げられます。
●●だけでないという部分は、さらに強調されているので、機能性を表す際には有効です。
④価格
価値と価格との比較を持ち出して、決してその価格は高くないことを表現することを意識することが重要です。スカルプDの場合、1プッシュで4ヶ月持つシャンプーと表現するだけで4ヶ月間ももつシャンプーだとイメージができます。
⑤限定感
別の言い方をすると、希少性を表します。限定発売でも1日●個しか製造できない、などもこの限定性に入ります。スカルプDの場合、インターネット限定で売れた、ドラッグストアでは売っていないなどがこれに該当します。当然、値引きをしていないということも限定性や希少性になります。
⑥気づき
スカルプDの場合は、キャッチコピーと言い換えるとわかりやすいと思います。
例えば、男性にもエイジングケア、頭のてっぺんから見たことありますか?などは、まさに相手に気づきのきっかけを与えるキャッチコピーです。また子供は食べる前に、見た目で味を想像し、好き嫌いを決めてしまいますと書いても、単なる説明の文章にしかなりません。そこで子供は目で食べるといった表現に置き換えて見るのです。ちょっと視点を変えるだけでおや?と気を引くようなキャッチコピーになります。これも気づきの一つです。
⑦評価
ランキングやレビューなど、第三者の評価に当たる部分です。「●●件のレビューがたった1ヶ月で集まっています」なども第三者の評価になります。
⑧人気
業界で話題、インターネットで売れている、クチコミが広がっているなどの話題性にフォーカスします。店舗などでは、開店と同時に行列ができたなど、行列という表現を人気バロメーターにします。
⑨感動
圧倒的な使用感と実感!などお客様の声、感動したコメントをまとめることでできます。健康食品における、たった1週間で見違えるようにハリが生まれました、などのお客様の声の引用も、この感動に該当します。
⑩実績
何か数値を使って、内容を表現します。例えば楽天総合ランキング1位獲得なども、この実績に該当します。
11.不安
不安を煽る上限で、お客様が心の内に抱えている事柄を引き出し、その解決策に提案するキャッチコピーを作ります。人間誰しも不安があるもの。そこにちょっと手を差し伸べてあげれば、掴みたくなるのが心理です。ターゲットが絞り込まれていれば、顧客が共感しやすく効果的な方法のひとつです。
12.解決
問題解決を定時すると効果的です。さらに解決できた後の少し近い将来をイメージできるフューチャーページングを見せ、未来の姿を示せると強いです。問題の解決・解決策は明確に記載することが重要です。
※将来、どういう姿になれるのか?がフューチャーページングにあたります。
13.期待感
前項のフューチャーページングで世界観を表現することに近いです。「髪の毛を洗っても抜け毛が少なくなりました」などが期待感に該当します。
14.比較
ライバルとの比較を表現する手法ですが、ライバルを蹴落とすものではありません。自社の商品の特徴が最大限に発揮できる箇所に焦点を当てて、ライバルを比較するようにする工夫が必要になります。成分比較、お客様サービスの比較など、切り口が尖っていれば、さらに付加価値が増します。
15.疑問
キャッチコピーの前提は、なぜ●ではいけないのか?という現状の常識を打ち破る問いを提示し、その理由を知りたくはないですか?という形式に転換すると良いでしょう(えっなるほどね!というストーリーを入れることになります)
以上、他社が言っていない、自社固有の特徴やベネフィットを洗い出して15の付加価値を一覧にしてみてください。
そしてこの●には、●という特徴と●という強みがあります。そのため、あなたは●というメリットを得ることができます。の3箇所の●を何で埋めるのが一番効果的なのかを15の付加価値から見つけるとよいでしょう。
A/Bテストはコンセプト・切り口・ビジュアル・コピー・オファーの5つで行う
最初のレスポンスを上げるために、通販会社はさまざまなテストを行いますが、コンセプト、切り口、ビジュアル、コピー、オファーという5つのファクターに絞ってテストすると、効果的に売上をアップできます。この5つのファクターは通販ビジネスを成功させるための数値目標を立てた上で、それをクリアできるまでテストするしかありません。
5つのファクターについて、A/Bテストを行う手順を解説しましょう。
1.コンセプト
通販ビジネスにおけるコンセプトとは、全体を貫く一言で言うとどうすごいのか?のことです。自社では、基本発想、基本思想、基本理念などとも表現できますが、基本的な思想や方向性を指し示す言葉です。
例えば6ステップ法の中の商品企画立案の際に、競争優位な独自の切り口とコンセプトは何か?などと使います、
コンセプトを考えるためのアプローチ方法は、大きく2つに分けられます。一つは、「問題解決型」でもう一つは「価値提案型」です。
問題解決型は、現状の不満・問題を解決するための発想法で、そのベースにあるのは、不満・問題の背景にある生活実態の把握(実態調査)です。
一方、価値提案型の場合は、生活の中で新たな気づきや価値をコンセプトかするもので、日常生活の中の無意識の行動や何気ない所作にフォーカスします。
通販では、先に問題解決型の提案から行った方が売上に直結します。その場合、思い込みや想像ではなく、調査や実際の顧客の声を吸い上げることで、不満・問題が見えてきます。
具体的には、次のようなアンケートを実施することで、表層部分だけでなく、深層にまで入り込むことができます。コンセプトチェックの指標として、私が使用しているものです。
<アンケート項目>
①第一印象:パッとみてイメージが湧くか?インパクトはあるか?
②新しさ、差別化、アクティビティ:今までの商品とどう違うのか、今なぜ必要なのか?
③ニーズの強さ・不満の大きさ:今なぜ必要なのか?今の不満は解消できるのか?
④魅力度と魅力ポイント:自分にとって魅力があるのか?あるとしたらどの点か?
⑤使用意向、購入意向:意向はどのくらい深いのか?
⑥想定される使用シーン:どんな時にどんな風に利用しそうか?
⑦競合との比較、ポジショニング:既存の商品に取って代われそうか?どこにポジショニングされるか?
⑧使用の形態:現在の使用品からの置き換え(リプレースメント)なのか?
⑨使用頻度:デイリーユースか?オケージョナルユースか?
⑩改善要望、アイデアの追加の有無など
2.切り口
コンセプトで全体の一貫した方向性を示したあとで、ある一定の切り口によってコンセプトを具体化し、消費者に訴求します。
切り口はあくまでも今ある情報の延長線上にあります。全くオリジナルなアイデアは滅多に生まれるものではなく、通販ビジネスで成功したケースの多くは、ニーズの進化への対応(対策)」と「分解」「特化」と「組み合わせ」の応用から生まれています。
化粧水・乳液・美容液など基礎化粧品の役割をたったひとつで担うオールインワン化粧品市場(スキンケア目的)は、富士経済の調査によると、2012年は435億円でした。オールインワン化粧品のコンセプトは、四十歳のためのエイジングケアであり、その切り口が、お化粧の「時短」や「簡略化」で、コンセプトも切り口もわかりやすいため、一気に市場が拡大しました。
このように市場にまで影響を及ぼすことができるコンセプトと訴求のための切り口を見つけるには、何回もA/Bテストを行うと良いでしょう。
具体的なA/Bテストのやり方は、まずコンセプトと切り口だけを各々2パターン入れたA4・1枚のチラシを用意します。図表5−5。
次に広告を利用せず、これを使って自分の半径5メートル以内の知人に紹介し、売上金額×売上人数÷紹介した人数の売れる通販指数を使用してドライテストを実施してみてください。
売れる商品企画の8割は、このコンセプトと訴求の切り口で決まると言っても過言ではありません。ですから、目標指数を突破できるように何回もテストを繰り返してください。
3.ビジュアル
ビジュアルは本当に重要です。より効果的に画像を活用する方法として、3Bの法則が知られています。3Bの法則は広告業界の中で古くから使われている手法で、次の3点を意識します。
・Baby:赤ちゃんなどの小さな子供イメージ
・Beauty:美人のイメージ、主に女性であり、男性は避ける
・Beast:かわいい動物のイメージ
テレビCMや雑誌広告などを意識して見ると、この3つのイメージを有効に活用していることがわかります。ビデオカメラのCMでは、かわいい子供が運動会で頑張っている姿をお父さんが撮っているところが流れます。保険のCMでも赤ちゃんが頻繁に使われています。
また、自動車のCMでは美人の女性が使われますが、男性がメインとなることは少ないです。化粧品や脱毛の広告は必ず美人の女性です。
つまり、ターゲットに訴求するためには、ビジュアルに訴えることを忘れてはいけません。
ビジュアルを最大限に活かすには、商品のコンセプトとターゲットを明確にしなければなりません。ですから、凝ったビジュアルではなくわかりやすいものにすることが必要です。折込チラシは0.02秒の勝負、一瞬で理解できるビジュアルが重要なファクターになります。アートなどの作品ではないと言う意識が重要です。
クリエイティブなどビジュアルが効果的であるかどうかの判断は、「CPO×顧客単価×定期率×定期離脱率」で数値化し、測定します。決して好き嫌いの主観的な判断をしないようにしてください。
4.コピー
コピーでは、ターゲット層の興味を惹きつけるキャッチコピーが一番重要です。潜在顧客が、あなたのセールスレターの封を開けたとして、まず目にする部分がキャッチコピーです。
コピーライティングの8割は、このキャッチコピーの出来不出来にかかっていると言っても言い過ぎではありません。興味を惹きつけることができなれば、せっかくのセールスの機会をドブに捨てるようなものです。通販も全く同じ理屈です。なぜなら、レスポンスを撮ることが最重要目標だからです。
以下は、ずっと昔から変わらずに使われていて、一定の効果を出し続けてきたキャッチコピーの一例です。
「〜する方法」
「ついに公開!●●」
「注意!あなたはまだ〜していませんか?」
キャッチコピーで顧客の興味を引くことができたら、次は顧客の悩みの種を明確に提示し、「読まずにはいられない」というくらいに強く引き込むことが重要になります。
大事なことは、顧客が、それこそが、普段から自分がつかんでいることだ!と思わず共感してもらえる問題を書くことです。
さらに本当に売れるコピーライティングは単なる問題提起ではおわらずに、読者に、痛みを強烈に感じさせ、動揺させる部分も持っています。このテクニックはシンプルに言うと、問題提起→動揺の公式で、これによって顧客は、現在置かれている状況に対して、強烈な痛みや苦しみを感じるからです。
セールスレターの場合では、ボディコピー(キャッチコピーをうけてより魅力的に商品を紹介すること)にあたるブロックを指します。
大きく分けると次の4つのパーツからできています。
①絶対的な解決策の掲示
②信頼性の演出の掲示
③リアリティのあるベネフィットの提示
④安心感を与えるお客様の声や感想の掲示
問題提起(キャッチコピー)→動揺(ボディコピー)となり、この組み合わせを探し切ることがとても重要です。
5.オファー
オファーとは、顧客に行動させることの全てを指し、「プレゼント」「増量」「割引」「ポイント」「送料無料」などのオファーをテストします。A/Bテストを行う順番は、コンセプト→切り口→ビジュアル→コピー→オファーとなります。
最低でも2種類のテストを行うことで、実践に即したものになります。2種類(A/Bテスト)×5項目(コンセプト、切り口、ビジュアル、コピー。オファー)の10種類をテストすると、圧倒的な売りが見つかります。
またその中でも、特にコンセプトと訴求の切り口は時間を割いてテストを行ってください。
<ケーススタディ OEMで他社に依頼する(化粧品の場合)>
化粧品OEMとは、自社ブランドとして販売したい化粧品の開発・製造を、専門の会社に委託することです。化粧品の生産ノウハウや工場、化粧品製造、販売委託のライセンスを持っていない企業や個人でもOEM会社に委託することで、オリジナル化粧品を製造することが狩野になるのです。
依頼する際に注意すべき8つのポイント
OEM化粧品会社に依頼する際におさえておきたいポイントを、製造の流れにそってご紹介します。一般的な流れは次の通りになります。
1。打ち合わせ
製造したい化粧品のコンセプト、販売戦略、ターゲットなどをヒアリングしてもらいます。基本的には丸投げではなく、自社で他社が行っていない15個の付加価値を分解して作り込むことが成功への第一歩です。
「コンセプトとターゲットの明確化がすべてを決定する」といっても過言ではありません。
2。商品規格
クライアントのニーズをOEM会社が把握し、要望にそった企画を提案。これも売れる商品企画にするため、「コンセプト」と訴求の「切り口」はしっかり自社で作り込んでください。その際、ポジショニングと競合調査が重要になります。
3。サンプル作成
企画にあった処方を検討し、サンプルを作成。納得いくものが出来上がるまで、改良を繰り返します。実際は、ここからが、OEM会社に依頼することになります。商品企画の段階から商品の製造へ移行する、大切なプロセスになります。特に売りのポイントを消さないように、サンプルに落とし込むことが重要です。
4。資材・パッケージ
ロットや予算を考慮しつつ、容器やパッケージデザインを決定します。パッケージデザインを請け負っていないOEM会社もあるので注意が必要です。前述した通り、バルク(中身)だけでなく、パッケージを含めた全体に対してお客様は対価を支払っていることを忘れてはなりません・
5。見積もり・発注
納得のいくサンプルができたら、最終見積もり→契約→発注へと移ります。サンプルは身内だけでなく、有料顧客にもテストしてもらえる環境を構築しておくことが大切です。
6。薬事申請
必要な薬事申請を行います。医薬部外品の場合、申請後約8ヶ月の審査期間が必要です。漏れや抜けがないか関連部署と連携してリーガルチェックを行った上で申請することが大切です。
7。製造
決められた処方にしたがって製品を製造・品質検査を実施します。バルク(中身)製造はどこが主体で実施するのか?また容器への充填・放送や製品検査はどこが実施するのか?を明確にする必要があります。
8。納品・フォローアップ
決められたフォーマットで、納期までに納品してもらいます。販売促進、リニューアルの提案など、フォローアップが受けられる会社もあります。
化粧品OEM会社では、工場の見学を行っているところもあります。安全性、衛生管理の状態、自分たちの製品がどうやって完成していくのかを実際に見て確かめておくとよいでしょう。
図表5−6 生産管理のフローについて
OEM会社の選び方(化粧品の場合)
どこに気をつけてOEM会社を選べばよいのか、5つのチェックポイントをご紹介します。
1.希望するロットでの製造が可能かどうか
発注したい個数(ロット)での製造が可能かどうかを確認しましょう。OEM会社はそれぞれ保有する設備や工場などの規模が異なるため、最小受注量に差が生じるからです。
一般的に、小ロットから中ロットまで(5,000個くらいまで)の製造が得意な会社は比較的高価格帯の製品を手がけることが多いです。
大量ロット(1万個以上)になると、比較的低価格での製造が可能となります。
近年では小ロットに対応するOEM会社が増えていますが、化粧品作りに大切なのは、品質の安定。安定した品質でせいぞ品を製造・提供するためには、適正ロットというものがあるのです。
適正ロットを明確な理由とともに提案してくれる、、、そんな信頼できる会社を選ぶようにしたいものです。
2。製造可能品目・開発力は十分かどうか
多種多様な素材を保有し、さまざまな製品を開発できる技術力があるかどうかをチェックしましょう。また化粧品づくりに関する知識や実績が抱負かどうかも重要です。クライアントがイメージする製品を実現するには、高い知識と技術力が必要となるからです。
さらに新素材や処方を常に研究開発しているかどうかも確認しましょう。付加価値の高い製品を製造することで、他社製品との差別化を図ることが可能となります。
3。自社工場を持っているかどうか
化粧品OEM会社といっても、自社工場を持っていないところもあります。工場を持たない会社(ファブレス企業)は製品処方までを決定し、製造は提携工場に委託する形をとっているようです。
この場合、処方や素材の研究に力を入れているケースが多ければメリットですが、製造工程の実情を把握しにくいのがデメリットになります。
品質管理などの面を考えると、できれば処方決定から製造までを一貫して請け負うOEM会社を選んだ方がよいでしょう。
その際は、工場の設備や衛生管理などのチェックも忘れないでください。
4。薬事法に詳しいかどうか
薬事法とは、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器の安全性・有効性を確保するための法律です。化粧品も薬事法の対象となるため、この法律に則って製品を製造・販売しなければなりません。
特に重要なのは、薬事法を遵守したパッケージ制作と広告表現のチェックです。これにひっかかると、せっかく作った製品を販売することができません。
OEM会社を選ぶ際には薬事法の知識を十分に持ち、丁寧にサポートしてくれる代理店を選ぶようにしましょう。
5。品質管理体制が、見える化されえているかどうか
化粧品は品質が命。しかし、品質管理体制はOEM会社によって大きく異なるのが現状です。高品質な製品を安定して供給するために、どのような企業努力をしているかをチェックしておきましょう。
会社によっては、ISO規格の認証取得、GMP(医薬品適正製造基準)に基づいた品質管理体制、オーガニック認証などをしていることもあります。
また納品後も製品の一部を保管し、品質の経時変化などを調べてもらえるとさらによいでしょう。
PR戦略の仕込み方
全体設計図のマーケティングαに広報があります。
広報とは、もともとはアメリカで生まれたPublic Relationsの日本語訳で略してPRと言われています。
直訳すると「社会の人々との関係」となりますが、ここで言う「関係」とはいい関係=信頼関係という意味です。
企業や自社の事業や商品について、社会の人々に理解してもらい、信頼関係を築き、最終的にファンになってもらうためのコミュニケーション活動が広報ということになります。
広報とは、ファンになってもらうためのコミュニケーション活動と説明しましたが、具体的にはどんなことをするのでしょうか。
一般紙や、業界紙、専門誌などの新聞・雑誌・ウェブに目を通し、重要な記事をピックアップします。重要な記事とは、自社の記事はもちろん。業界、同業他社を含め自社の事業に関連する全てのニュースを言います。ピックアップした記事はクリッピング(切り抜くこと)し、関連部署に配布します。
1。社内からの情報収集
経営者とのコミュニケーションを密にし、経営についての考えを理解します。また事業部長やキーパーソンへのインタビューをし、社内の動きや情報が常に広報セクションに集まるようにします。
2。社内への情報発信
経営方針、事業戦略や今後の展望など、経営側の考えを社員にわかりやすく伝えます。社内から収集したさまざまな情報を、全社で共有できるよう発信します。広報セクションから社外に発信した内容を、社内にも発信し共有します。ツールとしてはイントラネットや社内報、eメールなど、内容によってさまざまな方法を使います。
3。社外への情報発信
記者発表やプレスリリースなどによって、情報を発信します。リリース先のリスト作成や、プレスリリースの作成・配信、配信後のフォロー、記者クラブへの資料配布、説明資料や質問がきた場合の想定問答作成など、情報発信前の準備から事後処理までさまざまな業務をこなします。
プレスリリースとは、企業活動で発生するニュース素材を報道期間に知らせるために、その内容を簡単にまとめた通信文書のことを指します。
4。取材申し入れ、問い合わせへの対応
メディアからの取材申し入れや、各種問い合わせに対応します。
5。取材アレンジ、取材対応
メディアからの要望に応じて、社長や役員、社内のキーパーソンとの取材をアレンジします。取材前にどのように対応するかの打ち合わせを行い、取材時は同席して、取材がうまく流れるようさまざまな配慮をします。
6。原稿チェック
新聞の場合は事前に原稿のチェックはできませんが、雑誌やウェブなどの場合は通常、掲載前に記事をチェックすることが可能です。内容に謝りがないか、誤解を与えるような表現がないかなど、慎重に確認します。
7。各種ツールの作成
会社案内やニュースレター、社内報など、各種ツールの企画制作をします。
8。各種調査やイベントの実施
企業イメージに関する調査、メディアやステークホルダー(企業の利害関係者のこと)向けに実施する各種イベントの企画・運営なども広報セクションが行います。
ここで、広報の重要なツールであるプレスリリースについて見ていきましょう。
プレスリリースの一番の目的は、記事として取り上げてもらうことになります。しかしながら、本来の目的は企業や団体の活動を報道機関を通して、広く社会に後悔して理解を深めてもらうことにあります。
プレスリリース作成には、次の5項目に注意が必要です。
・A4用紙(縦2枚から3枚)
・わかりやすい簡潔な文章で書きます
・専門用語、業界用語、カタカナ語、英語などが多いと、読みにくいプレスリリースになってしまいます
・記者が欲しいのはあくまでニュース。広告・宣伝臭ののないように気をつけます
・誤字脱字、問い合わせ先や金額間違いなどないよう確認はしっかりしてください。
【商品概要】には、商品名・発売日・価格・サイズ・販売場所・お客様向けの問い合わせ先を表記すること
・【会社概要】には社名・所在地・URL・代表者名・資本金・従業員数・事業内容の表記を入れること。
プレスリリース作成時の確認ポイント10
①タイミングは適切かどうか
②逆三角形の構成(結論→序論→本論)になっているか
③5W1Hはすべて網羅されているか
④文章は「ですます調」になっているか
⑤誰にとってもわかりやすい言葉で書かれているか
⑥過剰な丁寧語になっていないか
⑦客観的に書けているか
⑧宣伝臭はないか
⑨表記の統一はされているか(同じ言葉を繰り返さない)
⑩専門用語・業界用語は極力使わない
開発秘話(ストーリー)の重要性と作り方
開発秘話は、通販の商品企画の中で最も重要な要素です。実際には15の付加価値に基づいて構成されますが、特に体験価値がイメージできるストーリーし立てにすることに主眼を置いてください。
神話に潜む謎を追いかけ、神話という神話を多数分析して、その中に共通するルール(神話の型)を抽出したのが、ライターズ・ジャーニー氏でした。
神話の型は、特に「神話の法則」と呼ばれます。この型は、一度その存在を知って仕まえば、世間に溢れるストーリーのほとんどが陳腐な物に見えるほど強烈な物です。
これを知っておけば、ストーリーを描くのにも役立つでしょう。
「神話の法則」は12のステージに分類されます。神話の法則は、神話学車ジョゼフ・キャンベルの「千の顔を持つ英雄」の神話研究を元に、著者クリストファー・ボグラーが神話の構造を映画脚本に応用し体系化させたものです。内容項目をご紹介します。
1.日常の世界:問題の偏狭な認識
2.冒険への誘い:問題の認識の変化
3.冒険への拒絶:変化への拒否
4.賢者との出会い:変化への躊躇
5.関門突破:変化への第一歩
6.試練・仲間・敵対者:最初の変化への挑戦
7.最も危険な場所への接近:大きな変化への準備
8.最大の試練:大きな変化への努力
9.報酬:努力の成果(進歩と後退)
10.帰路:変化への再挑戦
11.復活:大きな変化への最後の努力
12.宝を持っての帰還:問題の最終的な解決
※著書「神話の法則」
15個の付加価値を抽出し、そして神話の法則の12ステージに並べて作成してみてください。大きな流れは、次の8つになります。
1.天命を知る
2.決断して旅を始める
3.境界を超える
4.メンター・仲間との出会い
5.最大の試練とぶつかる
6.変容・成長する
7.試練の達成
8.帰還
大塚製薬のポカリスエットの開発秘話を例にみてみましょう。
これまでにない画期的な飲料を作りたいと研究員たちは、日々、新商品の開発に燃えていました。→①天命を知る
そんなある日、ひとりの研究員が「これを飲み物にできないかな」と言って、みんなに点滴液を差し出しました。点滴液の飲み物?仲間たちはびっくりしたけど興味津々。
この提案者社内で味の天才と呼ばれる飲料の技術部長で、あの大ヒット商品オロナミンCの味を決めた人なのです。実はメキシコ出張で、と技術部長は、そこときのことを話はじめました。
新しい飲料開発のため、メキシコに熱帯果実の視察へ行ったけれど、水事情の悪さからお腹をこわして現地で入院してしまった。そのとき、医者は激しい下痢で終わっている僕に、炭酸水を手渡しながら、体内の水分と栄養分が失われているから、とにかく水分を飲んで、あとで栄養もとるようにと言った。
そのとき、閃いた、こんなとき、ごくごく飲みながら栄養も一緒に補給できる飲み物があればいいのにってね。それと、手術を終えた医者が、栄養補給に点滴液を飲むのをみたことがあって。、、②決断して旅を始める
どうかな?点滴液の味を改良した飲料を作ってみないか?飲む点滴液、そのアイデアにみんな胸が高鳴りました。だって点滴液の製品は自分たちの得意分野③協会を超える
そしてかられは商品のコンセプトと時代のニーズに合うタイミングをじっと待つのでした。④メンター・仲間との出会い
偶然から生まれた摩訶不思議な汗の飲料
画期的なアイデアから3年後、世の中は健康志向になり、ジョギングやブーム。
開発するならいまだ!研究員たちはついに開発をスタート。でも点滴液の改良ではなく、汗の飲料として。なぜ汗の飲料なのか。実は汗を書いて失われるのは水分と電解質。つまり失われた汗の成分を手軽に補給できる飲み物があれば大ヒットすると考えたのです。
またたくさんの人に飲んでもらえるようにと、スポーツ飲料ではなく、日常生活の中で飲む健康飲料を目指したのであった。
研究してわかったのは汗には種類があること。日常における汗の塩分濃度はスポーツのあとよりも低い。そこで日常の汗の成分を再現して試作したものの、苦くてあまりおいしくない。成分を買えずに苦味を消し、しかも甘味を抑えた、喉越しの良い味とは、、、
それから、試行錯誤が続き、2年の歳月が経ちました。→⑤最大の試練とぶつかる
試作品が1,000種類を超えたころ、研究室では、汗の飲料と柑橘系粉末ジュースの試飲が行われていました⑥変容・成長する
しかしどちらもなんだかまずい、、
そのとき、社長が、できそこない同士、混ぜたら面白いのでは?と提案し、試しに混ぜて飲んでみるとこれがおいしい!⑦試練の達成
研究員たちも次々と混ぜ出し「苦味が消えている」「柑橘系のおいしい苦味が汗の飲料の嫌な苦味をかくしたのかなとみんな笑顔に⑧帰還
こうして偶然の発見から、汗の飲料の開発は大きく前進したのでした。
8つの型にはまった、素晴らしい開発秘話になっています。
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