小さな会社の人事評価制度 作成と運用のしかた

主に対象とする企業規模は30から100人程度の会社であり、この企業の会社を前提とした評価制度の構築方法についてまとめた。

この規模ではルールだけでは組織運営がうまくいかない。そして一人ひとりの社員の比重が大きく、その社員のモチベーションが成果や生産性に直接的な影響をもたらす。

ルール重視の考え方ではなく、人重視の考え方が制度を構築するうえでとても大切。

 

評価制度が成功する会社と失敗する会社

会社が人事評価制度に期待することは、①適切な評価によって、適切な給与・賞与を決められる②社員全体のやる気を上げる③中でも能力の高い社員の帰属意識を高めたい

適格で公正な評価結果を出すことの出来る評価制度が欲しいと思っているはず。

従業員の8割の人が人事評価の結果を重視している。約半数がその結果に満足していない。

※リクルートマネジメントソリューションズの人事評価に対する意識調査

不満足の理由

①何を頑張ったら評価されるのかがあいまいだから

②評価基準があいまいだから

③評価の手続きに公正さを感じないから

④努力しても報われないから

本人が自己認識しテイル努力と評価の結果が一致しないから。納得度は自己認識と評価結果のずれに対する理由をいかに納得できるかどうかで決まる。

中小企業では一人の動きが生産性に大きく影響を与える。3人の部下のうち、一人が負の感情を抱えて会社を辞めたいと言い出したとします。大企業であれば代替できますが、中小ではそうではない。

評価の中央化傾向というものがある。これは評価のほとんどが真ん中のC評価に集中するというもの。この中央化傾向の背景には負の感情を抱えてほしくないという考えから。

評価制度が成功する会社は、その共通点とは、「評価制度の運用に力を入れている」こと。

出来上がったら人事担当にまかせっきりにするとうまく運用できない。

内容と運用の比重は、2:8

曖昧さをほおっておかないことが評価制度の成否を分ける大きなポイント。

評価者全員が集まる評価会議を実施することがある。評価者と被評価者との面談を数多く行う仕組みを作っている会社もあり、このような会社の多くが評価に成功している。月に一回、目標の進捗を上司と部下で確認している。場合によっては週に1回の個別面談をルール化しテイル会社もあるほど。

評価制度の成否は運用で決まる。運用しやすい評価制度を構築しなければならない。

評価は価値を認めるためにする。人が感情で行動する以上、前向きでポジティブな感情を持たせるために、大いに認めることが大切であることは間違いない。

評価制度が目指す最終的な目的は強い会社を作ること。そのために社員の感情に目を向け、社員が納得できるものにしなければならない。

 

評価制度の作り方の手順~最初から100%を目指さない~

評価制度を作っていきますが、その前に評価制度の「設計思想(設計する際のコンセプトや基本概念)」と「設計手順」について説明する。

評価制度を作るには、制度の内容、評価の仕方、処遇への反映、など様々な課題を解決しなければいけませんが、短期間ですべてを解決するのは困難です。したがってどの段階でどの課題に取り組むことが適切かを理解して、焦ることなく落ち着いて評価制度作りを進めることが大切。

設計思想

設計思想のポイント

①成長のための対話

②アンチブラックボックス

③レベル別給与枠

①成長のための対話

上司の評価力強化と上司と部下の対話強化を最優先にして進める。

上司と部下の対話を強化するために大事なことは、何につい対話するかです。対話の主題は部下の成長だと考えている。

若手社員であれば業務のための技能・知識を習得することが成長ですし、

会社の価値観を具現化する行動や思考

成長過大にはもう一つ大事な課題があります。それは会社の価値観を具現化するための行動や思考を身に着けること。

社員個々の成長課題を設定する

 

アンチブラックボックス

一般的な評価確定の流れは以下の通り。

①課長が一次評価者として評価

②部長が二次評価者として評価を修正

③部門間の調整を取るための最終修正を加える

 

③レベル別給与枠

評価と給与の連動の仕方について、本書の考え方は、業務遂行能力や担える役割によるレベルを基本にしている。

習得すべき技能、知識、折衝力、応用力などの要件によって、何段階かにレベルを設定し、そのレベルの給与金額の下限と上限を設定することを基本とする。

等級要件に従った昇格審査

全ページで紹介したレベル別給与枠の考え方は、一般的な等級制度と基本的には同じ。一般的な等級制度でも等級要件があり、その等級要件を満たすかどうかで昇格、降格を決め、その等級の給与を支払うという考え方。

ただし実際の評価現場では、評価を昇給金額を聞い目るために使っています。したがって、ある等級の上限まで来てしまうと、さらに昇給させるためには、次の等級に昇格させる必要が生じ、ほぼ自動的に昇給させるという事が起こっている。等級要件に従った昇格審査というのはほぼ形骸化している。

評価制度と成長

給与も成長という事を主にして決めるべき。

 

設計手順

①評価項目づくり(約6か月間)

②実際の評価サイクルを回す「運用体験」(約1年間)

③給与連動「実運用」(約1年)

 

第1章 評価制度づくりのスタート

評価プロジェクトをスタートさせる

評価制度を上手に運営するためには、実際に評価を行う上司の制度への理解・納得度が高くなくてはなりません。そのために当事者である上司の制度構築への参加が必須。

①評価プロジェクトの発足。

評価対象項目の検証

評価制度を作る際に、どのようなところを評価するのか、ということを明確にしなければなりません。それは、すなわち社員に求めることを明確にすることにつながります。

仕事の成果を上げる構造は、①能力に見合った役割を担う②その役割を念頭に置いて取り組む③その結果として成果をあげる

 

本書における成果の基本的な考え方は、次の3Pのための具体的なモノ・コトとします。

①利益(Profit)②商品・サービス(Product)③組織力(Power)

 

 

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